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海の底/有川浩
評価:
有川 浩
角川グループパブリッシング
¥ 740
(2009-04-25)

4月。
桜祭りで開放された米軍横須賀基地。
停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。
巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を「食べている!」
自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」。
一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく――ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント。


横須賀に停泊した海上自衛隊潜水艦『きりしお』の乗員である、夏木三尉と冬原三尉はいたずらがもとで上陸を禁止されていた。
そこに、巨大なザリガニのような生き物が来襲。
艦内に残る全員が退去しようとした時、追いかけられる子どもたちの救出行動に出た彼らは『きりしお』内に逃げ込み、取り残されてしまう。
一方、巨大なザリガニに捕食された人々は逃げ回るが、警察には対処能力はなく、自衛隊の武器を使用しての出動は難しく……というストーリーです。

デビュー作「塩の街」、異種生命体とのコンタクトを描いた「空の中」(参考)に続く、自衛隊三部作のラストを飾る作品だろうです。
つながりはないのでどこから読んでも構わないそうで、事実私も「塩の街」は未読です。

敵がテロリストだろうとゴジラだろうと巨大ザリガニだろうと、こういう系のストーリーは大好きだったはずなのですが……何だか非常に物足りなかったです。
潜水艦とくれば密室劇、日本に有事が起これば縄張り争い、まだ2冊目ですが聞く限りではこの著者の作風だと大人向けラノベということで青春と恋愛が絡む……と、その通りの内容なわけですが……。
大事な密室劇部分が甘い。
「米軍基地の桜祭りにやってきて巨大ザリガニに追いかけられて艦内にとり残された少年少女たちが、同じ町内からやってきていて、微妙な人間関係にある」という設定は良いです。
しかし極度の緊張状態にあるはずの大人たちまで子供っぽくて、その部分はラスト付近で言及されているので意図したものなのでしょうが、読んでいてうんざりしました。
趣味が合わなかったということなのかもしれませんが……出航はしないものの、せっかくの潜水艦ものなのに……と、ついつい残念な気分に。
また、青春物語として潜水艦内の出来事を描くのなら、逆に外の警察と自衛隊、米軍を絡めた縄張り争いはもっとドロドロさせるべきでは。
恋愛が絡むのは嫌いではありませんけどね。
あと、ザリガニの手応えがなさ過ぎる。
もっとパニックを!と思ってしまいました。
(と、ここまで感想を書いていて、私のこの作品への要求が、著者が描きたかったものとは異なるのではないかと思い至りました)

平成ガメラっぽいなぁと思っていたら、解説に影響を受けたとあって納得。
このストーリーがお好きな方は、是非平成ガメラ三部作をどうぞ。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]有川浩 | 11:46 | comments(0) | - |
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