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かたみ歌/朱川湊人
不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。
殺人事件が起きたラーメン屋の様子を窺っていた若い男の正体が、古本屋の店主と話すうちに次第に明らかになる「紫陽花のころ」。
古本に挟んだ栞にメッセージを託した邦子の恋が、時空を超えた結末を迎える「栞の恋」など、昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包む。
7つの奇蹟を描いた連作短編集。


連作短編集で
「紫陽花のころ」「夏の落し文」「栞の恋」「おんなごころ」「ひかり猫」「朱鷺色の兆」「枯葉の天使」
の計7編を収録。

てっきりホラー小説だと思っていたら、どちらかといえば文学寄りの作品集となっていました。
舞台は「アカシア商店街」という古き良き昭和の下町。
「幸子書店」という古書店の主人を軸にして、そこに住む人々のちょっと不思議な、少し悲しい出来事が語られていく形式です。
視点となる人々の現在は様々ですが、語られるのはグループサウンズが流行していたり、石ノ森章太郎の漫画が連載されていたり、学園闘争があったり……という時代。
そして最後の「枯葉の天使」でその古書店主人自身についての物語となり疑問が解けるというところでしょうか。
私にはこの時代を懐かしいと感じることは出来ませんし、良い時代だったと懐古する人間にも同調することはできません。
あの狂乱のバブル期に青春を送った方たちが再びを願うこともあるでしょうし、私のように平成大不況しか実感できていない者でも年を取れば懐かしく思うでしょう。
ノスタルジーに浸るのは悪いことではありませんが、それはそれだけの話です。
ですが、その時代時代には独特の色合いがあることは確かで、それを全面に出して読ませる作品にも味があります。
ストーリーとしてはもう一歩凄みというものが欲しいところでしたが、安心して読める優しい短編集でした。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:さ行]朱川湊人 | 11:51 | comments(0) | - |
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