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新釈 走れメロス 他四篇/森見登美彦
あの名作が京都の街によみがえる!?
「真の友情」を示すため、古都を全力で逃走する21世紀の大学生(メロス)(「走れメロス」)。
恋人の助言で書いた小説で一躍人気作家となった男の悲哀(「桜の森の満開の下」)。
――馬鹿馬鹿しくも美しい、青春の求道者たちの行き着く末は?
誰もが一度は読んでいる名篇を、新世代を代表する大人気著者が、敬意を込めて全く新しく生まれかわらせた、日本一愉快な短編集。


短編集で
「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」
の計5編を収録。

……と書くと紛らわしいですね。
もちろん、中身はその名作とはまったく異なる、いつもの森見節全開の青春小説です。
舞台が京都で、主人公が学生たちなのも今までと同じ。
連作短編になっていることに加えて、「夜は短し歩けよ乙女」(参考)との微妙なリンクもあって、著者の作品を追いかけている方には本筋以外にも楽しめる一作でしょう。
(私の未読作品とのリンクもあるとか)

ですが私は駄目でした。
そもそも「新釈」というタイトルで勘違いしたところが不幸だったのかもしれませんが(新たな解釈で書き直したのかと思った)つい元になった方と比べてしまって素直に読めませんでした。
中身と比べるというより、たぶん私の中のそれぞれの作品への思いやイメージと、著者のそれとの違いにばかり目が行ってしまった感じです。
表題作なんて特に、お得意の青春小説でしかないのですが、著者にも試行錯誤があるのだろうなぁと余計なお世話的発想まで浮かんでしまう始末。

何にせよ、今までになく楽しめませんでした。
残念。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:ま行]森見登美彦 | 00:22 | comments(0) | - |
きつねのはなし/森見登美彦
評価:
森見 登美彦
新潮社
¥ 500
(2009-06-27)

「知り合いから妙なケモノをもらってね」
籠の中で何かが身じろぎする気配がした。
古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。
彼はそこで魔に魅入られたのか(表題作)。
通夜の後、男たちの酒宴が始まった。
やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現れて(「水神」)。
闇に蟠るもの、おまえの名は?
底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。


短編集で
「きつねのはなし」「果実の中の籠」「魔」「水神」
の計4編を収録。

土着ホラー……というには粘性が足りないような気がしましたし、怪談……と言い切るには怖さが単純ではないような、そんな雰囲気の作品集です。
どの作品にも怖さが漂うのですが、万人に共通する「怖さ」ではありません。
ホラーと言い切るには困ります。
まあ、どこがツボかなんて、ホラーに限らず恋愛でもミステリでも人それぞれでしょうが、「不思議」な話というのが説明するのに近いでしょうか。
そこから発展させて読み込めるかどうかは、それこそ読者のツボにはまるかどうかというレベルでしかありません。
同じストーリーでも、もっと主人公(語り手)を読者に感情移入させたうえで困った状況になるような書き方であれば、と思います。
読みやすいのもテンポが良いのも著者の作品では良い点ですが、それがマイナスに影響している気がします。
一言で言えば「惜しい!」

出来が良いのは確実に表題作の「きつねのはなし」です。
しかし好きなのは「果実の中の籠」でしょうか。
ファンタスティックで楽しい森見作品の、裏側を見せられたような気がします。

4作品それぞれに、ちょっとした、しかしそのままではないパラレルのようなリンクがあるのですが、今回はやや蛇足かな?と思います。
いつもはそういうのが好きなのですが。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:ま行]森見登美彦 | 18:23 | comments(0) | - |
夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦
評価:
森見 登美彦
角川グループパブリッシング
¥ 580
(2008-12-25)
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。
けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。
そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。
山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!


“黒髪の乙女”と、彼女に恋する“先輩”は、所属するサークルの先輩が結婚するにあたってのお祝いがあった夜、不思議な経験をすることとなる。
祝いの席で飲み足りないと感じた“黒髪の乙女”は繁華街で錦鯉業者を名乗る東堂という怪しい男と知り合い、その流れで羽貫と樋口という二人組と出会い……。
“先輩”は“乙女”の行くところ行くところ、彼女の姿を求めてさ迷い、“乙女”はそんな意図などお構いなしで突き進む……というストーリーです。

第20回山本周五郎賞受賞作の文庫化です。

読んだのは半年近く前です。
すっかり感想をこちらに書くのを忘れていました。
失礼なことですが、パラパラと読み直してみれば、やはり面白いです。
著者独特の一見鬱陶しい文体は、慣れると癖になります。
それに荒唐無稽なファンタジーでありながら実は大学生のただの(本当にどこにでも転がっている)恋愛小説となっているのが、最後に笑顔にさせてくれる要因なのかなと思います。
漫画家の羽海野チカ氏による解説(?)が最後に収録されております。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:ま行]森見登美彦 | 10:53 | comments(0) | - |
四畳半神話大系/森見登美彦
評価:
森見 登美彦
角川書店
¥ 700
(2008-03-25)
私は冴えない大学3回生。
バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実派ほど遠い。
悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。
いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!
さ迷いこんだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。


この二年間、まったく実益があることをやっていない。
所属していた映画サークルを自主追放した後そう自嘲する「私」は、ある日悪友の小津にいつものようにからかわれた後「猫ラーメン」という猫をダシにしているという噂がつきまとう屋台で、自分は「かもたけつぬみのかみ」つまり神様だと主張する男と出会う。
彼は神無月に出雲に行ってサークルの後輩・明石さんと縁結びをする相手を、「私」か小津かで迷っているのだと告げる……というストーリーです、というと語弊があります。

カバー裏の作品解説に「4つの並行世界で繰り広げられる」とあるように、いずれも主人公は「私」であり、もっとバラ色のキャンパスライフが送れたのではないかと苦悶するシチュエーションも同じでありながら、入学直後のぴかぴかの状態で異なる道を選んだ世界が描かれています。
同じような男の語りが4回繰り返されるとなれば、いかに著者の文章が好きでも飽きてくる……という面もあるかと思いますが、私はそれなりに楽しみました。
こうなると最後にどう「落とす」のか不安になったところで、最終話が良くて安心しちゃいましたが。
しかも「結局どこの道を選んでいても些細な違いはあっても同じだった」という、解説でも言及されている“不可能性”が私は大好きです。
無為な時間など存在しません。
これを「ほろ苦い」と捉えるか、私のように肯定的に受け止めるかは、読者次第というところでしょう。
あと、負のスーパーマンのような「私」の悪友・小津が素敵でした。
著者の作品は大学時代にうだうだした経験のある身としてはたまりませんね。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:ま行]森見登美彦 | 19:26 | comments(0) | - |
太陽の塔/森見登美彦
評価:
森見 登美彦
新潮社
¥ 420
(2006-05)
私の大学生活には華がない。
特に女性とは絶望的に縁がない。
三回生の時、水尾さんという恋人ができた。
毎日が愉快だった。
しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!
クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。
失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。


ストーカー男の勘違い小説だったらどうしよう、というネガティブな想像はあっという間に裏切られました。
主人公が必死になって自分が振られた事実を説明しているあたりで物語の中にすっかり入り込んでしまい、あちこちに散りばめられた過剰なばかりの修飾に彩られた表現と、どんどん物悲しい方向へと転がっていくストーリーに夢中でした。
細かい部分では馬鹿馬鹿しくて笑えます。
ライバル・遠藤との不毛な戦いには腹が捩れるかと思いました。
ですが基本的には寂しい小説です。
主人公の男は、ただただどこにでもあるありふれた一つの恋を反芻しているに過ぎません。

ファンタジーノベル大賞はこれまた「濃い」作家を世に送り出したものだと感心。
| [国内作家:ま行]森見登美彦 | 01:36 | comments(0) | - |
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