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ロング・グッドバイ/矢作俊彦
神奈川県警の刑事・二村永爾は、殺人事件の重要参考人ビリー・ルウの失踪と関わった嫌疑で捜査一課から外されてしまう。
事件直後、ビリーが操縦していたジェット機が台湾の玉山の上空で姿を消したことを知らされる。
一方、横須賀署の先輩刑事から、国際的な女流ヴァイオリニストの養母である平岡玲子の捜索を私的に頼まれる。
玲子のマンションで、二村は壁に拳銃弾を発見、彼女が事件に巻き込まれたことを知るが……。
三島賞受賞第一作となる傑作ハードボイルド!


二村永爾シリーズ第3弾。

とある事件の片がついた夜、二村はビリー・ルウと名乗る男と出会う。
どうもパイロットらしいその男に頼まれ、夜中に在日米軍の基地まで荷物と彼を運んだ二村。
しかしその後ビリー・ルウは殺人事件の容疑者となり、結果的にその逃亡を助けたことで捜査一課から外され、閑職に追いやられてしまう。
そんな彼のもとに元刑事の佐藤から失踪女性を探す依頼が舞い込み、事件は思わぬ方向へ……というストーリーです。

タイトルが「THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ」ですから、もちろん思い浮かぶのはチャンドラーの「長いお別れ」です。
酒場で知り合った男が容疑者となり……と冒頭はそのままでしょう。
が、実は私は「長いお別れ」を読んだことがありません。
矢作作品にしろ原作品にしろ、和製ハードボイルド作品を読む以上避けては通れない作家であろうと思うのですが、ただでさえ日本語でも読みにくいというのに和訳作品なんて無理!と拒否しております。
なので「長いお別れ」へのオマージュ作品としての評価は私には出来ません。
また横浜という街に馴染みがないために、街へのこだわりなんかもわかりません。
純粋に矢作作品の初めての出会いである二村シリーズの最新刊として嬉しく思いました。

内容は、これぞハードボイルド!というものです。
事件の構成は結構わかりやすいと思うのですが、ハードボイルド小説の典型である一人称のため、はっきりとは述べられません。
ということで謎が明かされる終盤ではかなりすっきりしました。
事件の割にはちょっと物語が長いかなとも思いましたが、それも味でしょう。
ただ、感想を挙げていないのに比べるのも何ですが(これを機に二村シリーズを読み返そうとしたのですが、行方不明です。どうしたものか……)同じシリーズなら「真夜中へもう一歩」の方が好きでした。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]矢作俊彦 | 20:39 | comments(0) | - |
ららら科學の子/矢作俊彦
評価:
矢作 俊彦
文藝春秋
¥ 700
(2006-10)
男は殺人未遂に問われ、中国に密航した。
文化大革命、下放をへて帰還した「彼」は30年ぶりの日本に何を見たのか。
携帯電話に戸惑い、不思議な女子高生に付きまとわれ、変貌した街並をひたすら彷徨する。
1968年の『今』から未来世紀の東京へ―。
30年の時を超え50歳の少年は二本の足で飛翔する。
覚醒の時が訪れるのを信じて。


学園紛争時代に中国へ密航しそのまま30年を経た主人公が日本に帰ってくる。
そこで会ったのは、何かの組織のトップにのし上がってしまったかつての親友と彼が送り込んできた今時の青年、不思議な言動をする女子高生、30年たっても変わったようで変わっていない「日本」という国――。
主人公は50歳なのですが、彼は懐古主義に陥ることがありません。
不思議なくらい30年前のまま。
それは純粋なままでいたと同時に、成長のなさでもあります。
ですから、特に結局最後まで顔を合わせることのなかった変わってしまった親友との会話は、お互いの戸惑いや引け目のようなものが滲み出ていて、テーマを象徴していたような気がします。
もちろん他の登場人物とのそれぞれの関わりも、同じような意味合いを持っていりのでしょうが。
小説としての面白さにはやや欠けるのではないかという感じもしないでもないですが、酷く真面目な作品でした。
| [国内作家:や行]矢作俊彦 | 22:58 | comments(2) | - |
夏のエンジン/矢作俊彦
評価:
矢作 俊彦
文藝春秋
¥ 650
(2004-11)
ベンツ、ビートル、マスタング、スカイライン、シビック、ベレット、コロナ、アルファロメオ…いつも車がそばにあった。
かげのキャラクターとして存在感を放つ個性的な名車たちとともに、若い男女が織り成す12のストーリー。
首都高、横浜からニューメキシコまで、国境をこえて60年~70年代の気分を漂わせる傑作短編小説集。


短編集で
「白昼のジャンク」「皆殺しのベンツ」「夏のエンジン」「悍馬の前脚」「ボーイ・ミーツ・ガール」「月影のトヨタ」「地図にないモーテル」「インディアン日和」「冬のモータープール」「バンドワゴン」「大きなミニと小さな夜」「サンダーボルト・ホテル」
の計12編。
すべての作品に車が登場するというコンセプトは好きなのですが、いまいち入り込めませんでした。
一つ一つの話が短いので、キャラクタに感情移入する暇が与えられないのですよね。
もちろん好きな話もあったのですが、表面的に格好良い印象が強かったです。
| [国内作家:や行]矢作俊彦 | 22:46 | comments(0) | - |
さまよう薔薇のように/矢作俊彦
評価:
矢作 俊彦
角川書店
¥ 580
(2005-11-25)
かつて検察事務官をしていた「私」は、いまは当時の警察人脈を利用して公然と駐車違反の車を動かすことを生業としていた。
客のほとんどは、ホステスか水商売がらみ。
一晩に五十八台の客の車を一、二時間ごとに十メートルずつ動かし、駐車違反を逃れることで生計を立てている。
…ある日、客の紹介である男から失踪した姪の捜索を頼まれるが。(「船長のお気に入り」)
掛け値なしの傑作と謳われた、ハードボイルド作品集。


短編集で
「船長のお気に入り」「さまよう薔薇のように」「キラーに口紅」
の計3編。
主人公は「面白いご職業だ」と依頼人に驚かれるような、路上を駐車場にする仕事を毎晩こなす男。
当然警察に知り合いもコネもないといけないのだが、その所以となっている「前歴」が評価されて探偵のようなこともすることに…というのが全話通しての基本設定です。
設定はともかく、台詞も展開も主人公以下キャラクタも「いかにもハードボイルド」
古いドラマの再放送を見た時に思う、古臭さへの嘲笑とそれ以上の「今はないもの」「その時の真剣さ」を懐かしみ評価する感情と同じような雰囲気を想像していただけると良いかと思います。
ですがハードボイルド小説を一切読んでいなかった私にとっては、それに妙な新鮮さが加わって、非常に楽しめました。
| [国内作家:や行]矢作俊彦 | 20:56 | comments(0) | - |
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