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天冥の標掘.▲Ε譟璽螢一統/小川一水
西暦2310年、小惑星帯を中心に太陽系内に広がった人類のなかでも、ノイジーラント大主教国は肉体改造により真空に適応した“酸素いらず”の国だった。
海賊狩りの任にあたる強襲砲艦エスレルの艦長サー・アダムス・アウレーリアは、小惑星エウレカに暮らす救世群の人々と出会う。
伝説の動力炉ドロテアに繋がる報告書を奪われたという彼らの依頼で、アダムスらは海賊の行方を追うことになるが……。
シリーズ第3巻。


天冥の標シリーズ第3弾。

小惑星セナーセーを本拠地とするノイジーランド大主教国では真空下でも生存可能な肉体改造を推し進めた《酸素いらず》な人々が生きていた。
そのノイジーランド大主教国で主教位を持つ16歳の少年・アダムス・アウレーリアは、敵対する海賊組織・エルゴゾーンの一隻を強襲砲艦エスレルで撃退するも、それは陽動だった。
エルゴゾーンの旗艦であるナインテイルまでが動き、冥王斑患者群(救世群)の一部が住む火星の小惑星エウレカを襲ったという。
彼らの目的は、救世群が手に入れた「ドロテア報告書」だった。
それは核融合炉数十基分の電力を発生される動力炉について、書かれたものらしい。
海賊たちの、そして救世群の目的は何なのか……というストーリーです。

舞台は24世紀。
1巻は29世紀の植民星、2巻は21世紀地球(主に日本)、3巻は24世紀太陽系と、未読の方にはこれがひとつのシリーズ作品だと説明するのが難しい飛び様ですが、2巻と同じようにこの1冊だけを読んでも充分面白いと思います。
というか、私はこれが面白かったです。
SFというかスペオペというか、そう名乗るならこれじゃないと!という単語に展開でした。
宇宙海賊に強襲砲艦、女装の美少年が艦長で、太陽系に散らばった人類たち……と、震えるぐらい楽しませていただきました。
このメンツ、この時代でもう一冊!と言いたいものの、これで綺麗に「事件」が収まっているのが良いところでもあるので、惜しい限りです。

それにしても1巻2巻で張られた伏線で、すでに回収されているものがあるのが凄い。
1巻ってこういう意味だったのか、とおぼろげながらも想像できます。
(もし私の想像があたりなら、詳しく書くとネタバレになってしまうので)
全10巻の3巻でこれですから、たぶんラスト付近にもう一段謎が用意されているのでしょう。
シリーズがますます楽しみです。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]小川一水 | 01:04 | comments(0) | - |
天冥の標供ゝ濱し押疹川一水
西暦201X年、謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子は、ミクロネシアの島国パラオへと向かう。
そこで二人が目にしたのは、肌が赤く爛れ、目の周りに黒斑をもつリゾート客たちの無残な姿だった。
圭伍らの懸命な治療にもかかわらず次々に息絶えていく罹患者たち。
感染源も不明なまま、事態は世界的なパンデミックへと拡大、人類の運命を大きく変えていく――すべての発端を描くシリーズ第2巻


天冥の標シリーズ第2弾。

国立感染症研究所に所属する医師の児玉圭伍は、同僚の医師・矢来華奈子と共にパラオで未知の感染症が大発生したという一報を受け、国際緊急援助隊の事前調査として小島へ飛ぶ。
そこでは、一様に黒々とした斑紋を顔に浮かび上がらせ、爛れた肌をさらす患者たちがいた。
多くの患者たちは死亡していたが、たまたま島で居合わせ、ネットに第一報を流した少年・フェオドールと共に、まだ息のあった日本人の少女・檜沢千茅他数名の治療にあたるが……というストーリーです。

第1弾は29世紀、地球を離れた植民星が舞台でしたが、2巻で舞台は現代(近未来?)に。
新型インフルエンザの流行でお馴染みとなった、パンデミックを描いた作品です。
1巻を読んでいなくてもまったく問題なく読める内容です。
もちろん、あちことにあの伏線、この伏線と張ってあって、謎解きを味わえる分シリーズを追いかけて読む楽しみはありましたが(ダダーってこういうことか、とかフェオって、とか、そもそも冥王斑って……と)もしかしたらそういう勘繰りをあちこちでしないで済み、物語に素直に没頭できた方が面白かったかもしれません。
(突然登場するSF要素に???となるかもしれませんが)
何にせよ、1巻より面白かったです。
たぶんこれで3巻も買おうと思う方もいるはず(私はそうです。これも合わなかったらやめようかと)

ただ、主要登場人物たちが現代日本人なこともあって、1巻より人物に感情移入できるかと思ったのですが……これまた微妙ですね……。
著者の作品って、SFらしいダイナミックさや緻密さには欠けても、所謂ラノベ的なキャラクタの良さがあると思っていたのですが、何だか描きたい物語のパーツに過ぎない感が。
それがSFらしいといえばらしいのですが。

しかしまあ、稀にみるレベルのSFシリーズになる可能性をひしひしと感じました。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 00:23 | comments(0) | - |
天冥の標機.瓮法次Ε瓮法次Ε掘璽廖疹川一水
西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300周年を迎えようとしていた。
しかし臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠る植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの弾圧を加えつつあった。
そんな状況下、セナーセー市の医師カドムは、《海の一統》のアクリラから緊急の要請を受ける。
街に謎の疫病が蔓延しているというのだが……小川一水が満を持して放つ全10巻の新シリーズ開幕篇。


天冥の標シリーズ第1弾。

独裁的なトップに牛耳られた植民星メニー・メニー・シープでは、「領主(レクター)」とまで揶揄される臨時総督の政策で慢性的な電力不足にあった。
そもそも植民地形成段階で争いがあったため、そして降り立った惑星ハーブCに化石燃料が存在しなかったことから、入植時の科学水準を維持できていない社会で唯一の電力原を握る臨時総督の存在は大きな重しだった。
そんな中、《海の一統》と呼ばれる一族から緊急に呼び出された医師のカドムは正体不明の伝染病に遭遇する。
有効な治療方法も、感染源もわからないままだったのだが……というストーリーです。

3年かけて出版されるという全10巻の第1巻目です。
今現在順調に2巻が発売されているようで、読者としては何より。
何故なら(著者もあとがきで述べている通り)ええええっ???という終わりをされているからです。
もちろん10巻のスタートとくれば、伏線だけ作りまくってそれで終わりで当然。
その状態で何年の待たされるのは辛いものですから、著者が執筆ペースが遅くないことが救いです。
とはいえ、そんな上下巻でも一応ストーリーとしてはまとまっているのが良いところ。
色々と謎は残りましたが、完全に続き物ではなく、これだけでもまあ読めなくはないと思います。
長いシリーズで、そういうスタートがきれるのはさすが。

ただ、残念なことに、非常に早足な展開で、普段の著者の魅力あるキャラクタ性が感じられませんでした。
長い物語のなかで、誰にも感情移入できないのは疲れます。
そもそもシリーズ通しての主役級キャラクタが存在しなかったのかもしれませんが、それにしたってもう少しどうにかならなかったのか。
また、そのストーリーも結構普通。
謎が明かされれば、なるほどね〜と思えるのかもしれませんが、少なくともこの上下巻では「先が知りたくてたまらない」と思わせてくれませんでした。
むしろ途中で休憩を入れてしまったぐらい。

著者の作品が好きなだけについつい点が辛くなってしまいました。
続編が気になることは確かなので(副題にもなっている羊の存在が謎だらけなことが一番)2巻を読みたいと思います。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 23:20 | comments(0) | - |
ファイナルシーカー レスキューウィングス/小川一水
あらゆるレスキュー隊があきらめた時、“最後の切り札”として出動するレスキューの最高峰、航空自衛隊救難飛行隊。
彼らは警察・消防・海上保安庁が救助不可能と判断した、最悪の条件下で出動する、日本最高の救助のエキスパートたちだ。
最年少の若さで配属された高巣英治は、仲間とともに吹雪のなか出動する!
星雲賞受賞作家が描く、レスキュー小説の最高傑作。


遊び心で放置されたボートに乗った少年たちは、流され、沈没の危機を前にする。
そこに現れたのが、航空自衛隊救難飛行隊だった。
助けられた少年・高須英治は、後にそのに入り、レスキューとして活躍することとなるが……というストーリーです。

ダ・ヴィンチ文庫なるものがノーマークだったので、書店で店頭に並んでいるのを見て驚き購入したのですが、もともとはライトノベルのレーベルであるMF文庫Jから2006年に出版されたものを加筆・修正しての再版だそうです。
ということで、硬派な表紙と内容紹介から私が想像したものより、相当に設定はライトノベルでした。
救出の描写や自衛隊への取材など、きっちりしているところはきっちりしているのですが、主人公の設定にガックリです。
こんな設定なくても良いのに……と最後まで思ってしまいました。
また、つながりがあるお話なのですが、1話1話やや途切れたような構成になっていて、これも不満です。
もっと大きな流れで描けなかったのか疑問。
全体的に「ライトノベルだしな」とあきらめるには惜しい箇所があり、著者への期待もあり、やや残念でした。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 10:58 | comments(0) | - |
フリーランチの時代/小川一水
「私は人類をたいらげたい」――火星やまと基地の隊員4名が体験した、あまりにもあっけないファーストコンタクトを描く表題作、太陽系開拓時代に孤独な宇宙船を駆るニートの日常「Slowlife in starship」、いつのまにか不老不死を獲得してしまった人類の戸惑い「千歳の坂も」、そして傑作長篇『時砂の王』に秘められた熾烈な闘いを描くスピンオフまで、心優しき人間たちのさまざまな“幼年期の終り”を描く全5篇収録。


短編集で
「フリーランチの時代」「Live me Me.」「Slowlife in starship」「千歳の坂も」「アルワラの潮の音」
の計5編を収録。

色々な味わいのある短編集でした。
もちろん底辺で雰囲気は同じ(アンソロジーではないのだから当たり前ですが)ですから、著者の作品をお好きな方は、それぞれ楽しめたのではないかと思います。
ただ、誰かに「小川一水ってどんな作家?おすすめは?」と聞かれても、これをまず出したりはしないかな……。
どうせ短編集なら『老ヴォールの惑星』(参考)の方を渡してしまいそうです。
これは書き下ろしの「アルワラの潮の音」が『時砂の王』(参考)のスピンオフ作品だからでしょう。
これ一作でも嫌いなお話ではありませんでしたが、やはり背後に長編があってこそ。
『時砂の王』は時間枝をどんどん作っていくストーリーでしたから、こういうスピンオフ作品はいくらでも書けそうですね。

他、表題作の「フリーランチの時代」はこれぞ短編という感じで好きです。
火星での異星人と地球人のファーストコンタクトを描いた作品で、内容紹介には“あっけない”とありますが、まさにその通り。
そのあっけなさが私には怖くて良いです。
また、脳死寸前の状態で助かった主人公が機械の“身体”を得るお話「Live me Me.」や、不老不死を得られる時代となった世界で、死にまつわる仕事をする男と死も不死も単純には受け入れない老女の関係を描いた「千歳の坂も」印象に残る話でした。
しかし、一番普通のお話である「Slowlife in starship」が一番好きかもしれません。
「はやぶさ」を出してくるあたり素敵です。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 15:41 | comments(0) | - |
復活の地 掘疹川一水
皇権排除を画策するサイテン首相は、スミルらを襲った大規模余震を機に国家権力を掌握、星外進出を見据えた軍備増強を推進していく。
いっぽうセイオのもとには、100日後の第二次震災発生という衝撃の情報がもたらされる。
復興院総裁という権力を失った彼が、“予知された災害”に対して講じた方策とは?
そして、迫りくる国家崩壊の危機に、摂政スミルがくだす最後の決断とは?
――未曽有の国家再生ドラマ、全3巻完結。


震災は星代に作られた重力兵器によるものだった。
しかも100日後に再びそれがやってくるという。
スミルと共に余震に襲われ片腕を失ったセイオは再び帝都を救うことを誓うのだが、復興院総裁という立場をなくし、スミルも政府によって軟禁状態となる。
一体どうやって市民と救うのか……というストーリー。

全3巻で3巻で、完結編です。
大団円、という感じでした。
不満は、ここにきて悪役であったはずのサイテン首相が「観点が違うだけ」だということがわかり、その手段が人道的であったか人倫に抵触しなかったかというだけで主人公側と区別されることとなってしまったことです。
政府首脳になるような人物であっても、どうしようもなく低俗な人間はいるはずです。
また、セイオたちが取った予期される第二次震災への手段が、これまた性善説に基づいたような感じで違和感が。
市井の、しかも震災という大災害の後であっても、どうにかして他人を害しよう出し抜こうと考える人間は山ほどいるというのが私の考えなので、いささか楽天的な気がしたのです。
ですが、これは捉えようによっては小川作品の美点です。
ライトノベル的と言われようと、エンタテイメント色の強い長篇を読まされて後味が悪いと、たとえお話が面白かったとしても損をしたような気がするものです。
そういう点でも満足しました。
ボリュームのある作品でしたが、3巻続けて読むことをおすすめいたします。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 21:28 | comments(0) | - |
復活の地 供疹川一水
評価:
小川 一水
早川書房
¥ 756
(2004-08-06)
行方不明のレンカ高皇にかわり摂政の位に就いたスミルは、一官僚であるセイオを帝国復興院の総裁に任命した。
遠大なる帝都再生計画を掲げるセイオであったが、その強引なまでの政策は、サイテン首相率いる政府のみならず、救うべき市民たちの反感をも招いてしまう。
復興院解体の危機が迫るなか、ダイノン、サランガナンなどの星外列強が、混乱する帝国に干渉の手を伸ばそうとしていた…。
未曽有の国家再生ドラマ、第2巻。


レンカ帝国摂政となったスミルの命により復興院総裁となったセイオは、各省庁の官僚達と折衝を行うなど、復興に着手していた。
その強引な手法に内閣から反発が起きていたが、首相に就任したサイテンは復興院をうまく利用する気であった。
一方、実力を知り自ら任命したものの不遜な態度を崩さないセイオが気に入らないスミルは、星間国家のひとつであり付き合いはじめたばかりのダイノンが派遣してきた艦隊と直接交渉にあたっていた。
星外の勢力は徐々に干渉の度合いを強めていたのだ……というストーリー。

全3巻の2巻です。
震災からまだ30時間しかたっていない、大火災からスタートします。
その後はセイオがあれもこれもいいようにしようとストレートに動き過ぎるために、あちこちを軋轢を起こす様が描かれていて、さらに傲慢で物知らずだったスミル内親王が摂政となったことで(父親である高皇は死亡が確認されていないことになっています。なので摂政)少しずつ成長していき、頑なだった二人の関係が……という流れでした。
著者はもともとライトノベル寄りのSF作品を書く人なので、この展開はいわばお約束。
そして1巻ではなにやら宗教的なまとめかたをしていたセイオが助けた少女ネリの様子は健気で良いです。
セイオが合法的に、一段下に置かれた被征服民のジャルーダ人を助けようとしているわけですが、そんなお上の行動とは別の善良な庶民の行動という感じで対比が良いです。
そしてラストで明かされる衝撃の事態……。
ということで、どうまとめるのか3巻が気になります。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 17:38 | comments(0) | - |
復活の地 機疹川一水
評価:
小川 一水
早川書房
¥ 756
(2004-06-10)
王紀440年、惑星統一を果たしたレンカ帝国は今まさに星間列強諸国に対峙しようとしていた。
だが帝都トレンカを襲った大災厄は、一瞬にして国家中枢機能を破壊、市民数十万の生命を奪った。
植民地総督府の官僚であったセイオは、亡き上司の遺志に従って緊急対策に奔走するが、帝都庁との軋轢、陸軍部隊の不気味な動向のなか、強力な復興組織の必要性を痛感する……。
崩壊した国家の再生を描く壮大なる群像劇、全3巻開幕!


レンカ帝国ハルハナミア内親王スミルは、名目上は自身が総帥を務める白翼兵団、いわゆる天軍に突然の訪問を受ける。
戦闘機から降りてきたのは士官と、そしてセイオ・ランカベリーという不遜な男。
ジャルーダ総督代理を名乗る男は、その生まれから僻地に封じられたスミルに帝都トレンカの壊滅を知らせる。
それは帝都復興の険しい道のりにスミルが巻き込まれざるを得なくなったことを知らせるものであった……というストーリー。

全3巻の1巻目です。
レンカ帝国という惑星国家で、地球で発達したテクノロジーの多くが失われ現代に近い状況での未曾有の大震災に人々が立ち向かう様を描いた作品です。
権威はあるが絶対的な権力はなくお飾りに近い皇族が存在し、軍部が権力を持ち、内閣がある政体ということで、否応なく想像するのは戦前の日本。
そこで震災となれば関東大震災がすぐに思いつきます。
もしお話がそれをなぞるだけであれば、いかに震災の描写がうまかろうと、こんなに次を読ませろ!とは思わないでしょう。
正しくエンタテイメントなのです。
可愛がられた総督の死に際して代理の位を受け、政府中枢の多くが死に絶えたため文官では最も位が高くなってしまい、復興の指揮を執ることになってしまったセイオに、生まれの遅さから僻地でのん気に暮らしていたというのに、お飾りとして帝都で陰謀術数に巻き込まれることになった美しい内親王スミルとキャラクタがたっております。
また復興に際して、レンカ帝国の周囲には列強星間国家が存在しており、それぞれ自身の利益と影響力の強化を狙って手を出してくる。
政府は一枚岩ではいられず、正しいことをしようとするセイオには軋轢が、スミルは自身の力の無さを歯がゆく思う……と正統派なのですね。

1巻では復興は始まったばかり。
続きが気になります。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 15:24 | comments(0) | - |
時砂の王/小川一水
西暦248年、不気味な物の怪に襲われた耶馬台国の女王・卑弥呼を救った“使いの王”は、彼女の想像を絶する物語を語る。
2300年後の未来において、謎の増殖型戦闘機械群により地球は壊滅、さらに人類の完全殲滅を狙う機械群を追って、彼ら人型人工知性体たちは絶望的な時間遡行戦を開始した。
そして3世紀の耶馬台国こそが、全人類史の存亡を懸けた最終防衛線であると――。
期待の作家が満を持して挑む、初の時間SF長篇


26世紀の地球は、ETと呼ばれる太陽系外からやってきた増殖型戦闘機械により壊滅していた。
外惑星域まで後退した防衛線で反撃する人類は、メッセンジャーという太陽系奪回戦闘専門の知性体を作り出し、ETの存在しない過去へ遡行して攻撃する術を得る。
そのメッセンジャーの一人・オーヴィルは4ヶ月の学習期間で愛し合うようになったサヤカに見送られ、過去へと旅立つ。
それは決して帰還の叶わぬ戦闘の始まりに過ぎなかった。
そして3世紀の耶馬台国でオーヴィルは目覚めた……というストーリー。

時間SF小説です。
改変された耶馬台国が栄える248年の日本を舞台とした“物の怪”との戦いと、オーヴィルらメッセンジャーの各時代での戦闘が回想という形に入る、交互の章立てです。
ETという正体不明の敵を倒すために、過去へと遡行することとなる人工知性体たちですが、過去に介入すれば「現在」は消滅します。
育った環境や愛する人を「消す」作業としての苦しい戦闘、それも何度もそれを繰り返さざるを得ない苦悩を抱えたオーヴィルと、たった一つでも人類が勝利し生き残る「未来」さえ得られれば良いと計算し助言してくる時間戦略知性体カッティ・サークの組合わせはセオリー通りですが、そこに絡んでくる女王卑弥呼のキャラクタがいい。
戦う女王としてはまたもや典型的な造形かもしれませんが、活き活きとして物語を紡ぐ様は、10万年も戦い続けて疲弊しきっているオーヴィルとカッティ・サークとの対比で良いのです。
また、はるか未来の技術を持つ者や世界を設定しておきながら、お話の多くを占める3世紀の原始的な戦闘が生々しくて魅力的です。
時間枝のタイムパラドクスのあたりは、それも物語のテーマになっているのであまり気にしなくてよいはず。
そして読みやすさは相変わらずでした。


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| [国内作家:あ行]小川一水 | 18:08 | comments(0) | - |
第六大陸〈2〉/小川一水
評価:
小川 一水
早川書房
¥ 714
(2003-08)
天竜ギャラクシートランスが開発した新型エンジンを得て、月面結婚式場「第六大陸」建設計画はついに始動した。
2029年、月の南極に達した無人探査機が永久凍土内に水の存在を確認、もはや計画を阻むものは存在しないかに思われた。
だが、再起を賭したNASAが月面都市建設を発表、さらには国際法上の障壁により、「第六大陸」は窮地に追いやられる。
計画の命運は?
そして、妙が秘めた真の目的とは。


さて、美「少女」だった妙お嬢さんは着々と計画が進むなか、どんどん成長していきます。
しかしその方向がどこかおかしい。
主人公の青峰はそのことに気付き、そしてそのうちに様々な妨害・障害が発生します。
計画は中止というところまで追い込まれる……とややハラハラする内容の2巻です。
ライトノベル的な読みやすさがあるとは1巻で述べましたが、ここでは皆様大好きな大人の男性と精神年齢の高い少女の関係が大きく描かれています。
これがまた典型的で苦笑してしまうのですが、まあ私も大好きなので文句は言いますまい。
とにかく面白かった1巻とは違い、ややビターな2巻ですが、そのラストには甘いなぁと思いつつも納得しました。
読後感も良かったです。
| [国内作家:あ行]小川一水 | 15:00 | comments(0) | - |
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