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遠まわりする雛/米澤穂信
評価:
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 660
(2010-07-24)

省エネをモットーとする折木奉太郎は<古典部>部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。
十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。
千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する――。
あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか<古典部>を過ぎゆく1年を描いた全7編。


古典部シリーズ第4弾。

短編集で
「やるべきことなら手短に」「大罪を犯す」「正体見たり」「心あたりのある者は」「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」
の計7編を収録。

古典部シリーズのいままでの3作で描かれた事件や出来事の合間を縫うような7編の短編からなる作品でした。
というか今までの3作が文化祭絡みだったので、それ以外という感じでしょうか。
校内でのちょっとした謎を解いたり、夏休みに温泉合宿に出かけたり、初詣で騒動に巻き込まれたり……と時系列通りに収録されています。
トリックや謎は、短編らしくキレがあるものが多く、面白く読みました。
(しかし慣れたつもりが、ここ最近この傾向の作品を読んでいなかったせいか、文体に疲れました)
また、事件だけでなく、登場人物たちの淡い恋心なんかが高校生らしい初々しさで描かれていて、全体的に甘酸っぱい印象です。
シリーズをひと段落させるには良い内容だったかなと思います。

好きだったのは「あきましておめでとう」でしょうかね。
かつて何度となく少女漫画やティーンズ小説で読んだ、あのシチュエーションが好きですし、奉太郎と里志の息の合い具合がなんとも。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]米澤穂信 | 22:59 | comments(0) | - |
ボトルネック/米澤穂信
亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。
ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。
不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。
もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。
世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。
そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。


兄が死亡したという知らせを受けた時、恋人が事故死した東尋坊に嵯峨野リョウはいた。
花を投げ込もうとしたところ、そこから落ちてしまう。
そして目覚めた世界では、自分は存在しておらず、自分のかわりにノゾミという「姉」がいたのだが……というストーリーです。

ラノベを皮肉で包んだ作品でした。
通常、異世界(ここではパラレルワールド)に紛れ込んでしまった主人公というのは、伝説の勇者だったり魔法使いだったりして美男あるいは美女に囲まれたりするわけですが、そんな「普通」を嘲笑するかのようなストーリーで、非常に面白かったです。
愚かな者はどこに行っても愚かだし、環境のせいで今の「自分」があるわけではない、という考えは真っ当なのですが、物語世界では「異端」ですよね。
最後までらしくて、楽しく読めました。

ただ、問題はこれが青春「ミステリ」であるとしてしまったことでしょう。
世界観がファンタジーであろうとSFであろうと成立するものだと私は考えていますが、ミステリというにはちょっと弱いかと。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]米澤穂信 | 18:50 | comments(0) | - |
インシテミル/米澤穂信
「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。
とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。
それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった――。
いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。


結城理久彦はアルバイト雑誌をコンビニで見ていたところ、須和名祥子と名乗る浮世離れした美女に話しかけられる。
雑誌の見方を教えて欲しいという彼女に請われるまま、掲載されたアルバイトを見ていた二人は、時給1120百円という内容の仕事を見つけてしまう。
誤植だろうと思いつつも、応募する結城。
そのアルバイト内容である「ある人文科学的実験」のモニターとして最終的に残ったのは、須和名祥子を含む12人。
しかし、<暗鬼館>という閉鎖空間でモニターたちが強いられたのは“人殺し”だった……というストーリーです。

現在映画も公開中で、出版当時は『このミス』でもランクインした話題作ですが、内容は古典的といえば古典的。
なるべく不自然にならないように設定されたクローズドサークルものミステリです。
この「なるべく」というところがポイントで、普段ミステリやサスペンス、ホラーといった作品に慣れ親しんだ読者ならありだと思うかと想像できますが、映画の原作か〜と手に取ると不自然さに戸惑うかもしれません。
そして慣れ親しんだ者にとっては、どこかで読んだ作品の残滓を感じ取ってしまう気がします。
それでより読みやすくなるか、またかと思うかは、個人の問題でしょう。
私はその半々ぐらいでした。

エンタテイメント作品としてはよくできていたと思います。
わりと分厚いというのに特に大きな破綻もなく、ラストの分量に疑問はありましたが最後まで読ませてくれます。
「おっとびっくり」なオチが複数あるのも良し。
トリックもしっかり用意されていて、ミステリファン好みの見立てなんかもあって、サービス満点です。
楽しく読みました。
著者の読者層を広げたのではないかと思います。
(映画原作者だなんて、大出世ですよね)
ただ、いつもの著者らしい、冷めた主人公は相変わらずですね。
もう、いかにも今時、ラノベ風。
ここがクリアできればなぁという思いと、そうでなくては著者の作品ではないという考えが、これまた半々といったところでしょうか。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]米澤穂信 | 00:03 | comments(0) | - |
秋期限定栗きんとん事件/米澤穂信
あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。
学校中を二人で巡った文化祭。
夜風がちょっと寒かったクリスマス。
お正月には揃って初詣。
ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。
――それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい……シリーズ第三弾。


小市民シリーズ第3弾。

夏の事件で袂を分かつこととなった小鳩と小山内。
小鳩にはごくごく普通の彼女が出来、ごくごく普通ではいられない思考と折り合いをつけながらお付き合いをしていたし、小山内にも彼氏が出来る。
しかしその小山内の彼氏が、頻発する放火事件を校内新聞で追いかけることになったことからおかしな話に……というストーリーです。

「小市民シリーズ第3弾」と書いておきながら、どうも私は第1弾も第2弾も感想を書いていないようです。
1作目はお気に入りでしたが、2作目はあまり好みではなかったので、これもあまり期待せずに購入しました。
その通り、上巻にはうんざりさせられた部分もあったのですが、それを我慢して下巻に至ると、まあ甘酸っぱいこともあるものです。
(知人に貸して感想を聞いたところ、同じことを言っておりました)
事件が添え物扱いなのが良い。
オチも好きです。
日常の謎を扱ったシリーズなので物語の派手さには欠けますし、犯人がバレバレでミステリとしてもやや弱いかなと思います。
上下巻に分ける必要があったのかとも思います。
ですが、綺麗な展開でした。


上下巻完結
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
米澤 穂信


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]米澤穂信 | 21:57 | comments(2) | - |
クドリャフカの順番/米澤穂信
評価:
米澤 穂信
角川グループパブリッシング
¥ 660
(2008-05-24)
待望の文化祭が始まった。
だが折木奉太郎が所属する古典部で大問題が発生。
手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。
部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。
盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲――。
この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!
目指すは文集の完売だ!!
盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに……。
大人気<古典部>シリーズ第3弾!


古典部シリーズ第3作。

準備段階で色々あったものの、よぷやく文化祭当日にこぎつけた古典部の面々。
しかし彼らを悩ませるのは、印刷し過ぎてしまった文集だった。
値段を下げてはみたものの、元々三十部の予定だった、知名度が高いわけではない文集「氷菓」を二百部も売らなければならない。
やる気なく店番を選択した奉太郎だが、奔走していた部長・千反田が好奇心旺盛な性格そのままに校内の連続窃盗事件の謎を解こうと言い出したから……というストーリーです。

古典部シリーズの感想を書くのは3作目にして初めてです。
1、2作目も書いてからにしようかと思ったのですが、やはりどこにあるのかわからなかったので、順番が気になりつつも新作からといたします。
シリーズ作品であってもどこから読んでも楽しめるタイプとそうでないものがあり、これは後者だと思います。
読めるとは思いますが、興味を持たれた方は一作目の「氷菓」から順に読まれることをおすすめいたします。

素直に楽しめました。
文化祭が舞台なので明るくて、古典部のメンバーそれぞれの一人称により性格がうかがえるのも好きですし、「わらしべ長者」のネタも笑えました。
そんななか起きる連続窃盗事件は、動機にやや「?」を憶えたものの(それは私が、どんな犯罪行為においてもそれがバレた時のリスクに見合うリターンを他の人より多めに設定しているからでしょう。「そんな理由でそんなことするかよ!」と思うことが多々あります)オチは素敵。
それでこそ、「省エネ」志向の奉太郎君です。

「犬はどこだ」が一番面白いと思っていたのですが、やっぱり古典部も面白いですね。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]米澤穂信 | 23:43 | comments(0) | - |
犬はどこだ/米澤穂信
開業にあたり調査事務所<紺屋S&R>が想定して業務内容は、ただ一種類。
犬だ。
犬捜しをするのだ。
――それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。
しかも調査の過程で、このふたつは何故か微妙にクロスして……いったいこの事件の全体像とは?
犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。
新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。


原因不明の皮膚病に悩まされ銀行を辞めた紺屋は、故郷に帰って探偵となった。
業務内容は犬捜しだけ。
しかし、最初の依頼は行方不明人捜し。
探偵業をやりたいと飛び込んできた高校時代の後輩に、すぐ次の依頼された緊急性の低い古文書の解読を頼み、姿を消した女性を捜す紺屋だったが……というストーリーです。

軽くて読みやすくて、楽しめました。
既読の著者の作品は日常の謎系ですが、こちらははっきり探偵モノ。
やや渋い内容になっており、私はこれが一番好きです。

気に入らなかったのは、失踪人捜しと古文書の解読という二つの依頼を、主人公の紺屋と探偵志願の半田とわけてしまって、全然意思疎通がなされないということ。
この手の小説にありがちなことに、全然関係なさそうな事件がリンクしてくるわけですが、それに気付かないのが別々に行動しているせいだなんて、気持ちが悪過ぎます。
本来はそれが当たり前なのでしょう。
ですが事件が一つに収斂していく様が面白いと思う私にとっては、セオリー通りご都合主義で動いてくれ!と叫びたい気分に。
また、必然的に視点が紺屋と半田の二つあるのも微妙。
ハードボイルドや探偵小説といえば主人公のみの一人称作品、という考えが強い私にはこれまた気持ちが悪い。
そしてやっぱり文章に重みはありません。
表現が安っぽい。
これは読みやすさに直結しているので一概に批判できませんが、ライトノベルだなぁと思ったのは事実です。
(同時に原りょうの沢崎シリーズを読み直したのがまずかったのかもしれません)
ラノベっぽいのは、全然タフじゃない紺屋の性格だけでなく、その妹の存在も。
女の子に特殊能力を持たせるのは悪い癖じゃないですかね。

とまあ、文句は書きやすいわけですが、これは私の私立探偵モノの理想と比べたらの趣味の問題なので、人それぞれでしょう。
それにラストの真相へといたる転換点は非常に鮮やか。
二つの事件が実はつながっているんだよ、という読者にのみ提示されていた事実を、そういう風に処理するのか、と感心しました。
ラストも良い感じに仕上がっています。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]米澤穂信 | 12:08 | comments(0) | - |
さよなら妖精/米澤穂信
評価:
米澤 穂信
東京創元社
¥ 780
(2006-06-10)
1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。
遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。
彼女と過ごす、謎に満ちた日常。
そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。
謎を解く鍵は記憶のなかに――。
忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。
『犬はどこだ』の著者の代表作となった、清新な力作。


読みやすい文章に日常的な軽い謎解きは米澤色ばっちりでいかにもなのですが…これをミステリと呼ぶには辛い。
かといって青春小説だったと思うには、それころ途中のわざとらしい謎解きやそれにまつわるエピソードが鬱陶しい。
ライトノベルとミステリの複合というだけではない何かを感じていた身としては、やや戸惑ってしまいました。
もちろん全体を通してのオチは悪くはないかと思いますが……ユーゴスラビアに帰ってしまった友人・マーヤの「出身地」を探そうとするその試み自体に入り込めなかったのが敗因かもしれません。
| [国内作家:や行]米澤穂信 | 20:14 | comments(0) | - |
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