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夢館/佐々木丸美
評価:
佐々木 丸美
東京創元社
¥ 693
(2007-04)
崖に聳えるガラスの館。
かつてそこで命を落とした少女、千波は再びの生を得て、青年学者の吹原と出会う。
しかし二人は前世からの縁と、吹原の一族に潜む愛憎がもたらす過去の悲劇が、千波に新たな試練を課した。
前世の思い出を映す未来に導かれるように、千波は崖の館をめざし、歩きはじめる。
少女と館を巡る三つの物語、完結。
単行本未収録作品「肖像」を併録する。


「崖の館」「水に描かれた館」に続く<館>三部作完結編です。
と、同時に解説によると「雪の断章」「忘れな草」「花嫁人形」「風花の里」と続く<孤児>四部作の作品世界と<館>三部作をリンクさせる作品でもあるそうです。
私は<孤児>四部作の方はいずれも未読ですが普通に読めましたので(もちろん「崖…」と「水に…」の方は読まないとわからないでしょうが)ご心配なく、お手に取ってください。

さて、その内容ですが……非常に幻想的でした。
もともと三部作全てに共通する特徴ではあるのですが、1作目や(かろうじて2作目も)持っていた本格推理の匂いは、この3作目ではほとんど消えてしまっています。
この作品の主人公「千波」は1作目で事故死した美しいガラスの館の娘のことであり、また、まったくそうではありません。
迷い子として吹原氏に拾われた4歳の時、彼女は「ここだ!」と思い至ります。
引用した作品内容にあるように、生まれ変わってきているのです。
ミステリとファンタジーと幻想小説とSFの親和性が高いことは認識していますが、このシリーズの変遷は凄い。
感服しました。

ですが、私の趣味ではありませんね。
語り手の少女のリリカルな文章にはある程度慣れていたつもりですが、加えてこの作品における吹原氏の存在具合には色々な感想を通り越して、笑えるぐらいでした。
「生まれ変わり」というテーマも、それへの特別視も、さすが80年代の作品という雰囲気。
作品としての出来は悪くないですし集中して読みましたが、その最中にもどこかに冷めた自分がいて「ばっかじゃないの」と鼻で笑ってしまうような、そんな感じでした。
| [国内作家:さ行]佐々木丸美 | 22:52 | comments(0) | - |
水に描かれた館/佐々木丸美
評価:
佐々木 丸美
東京創元社
¥ 780
(2007-02-28)
いとこ三人の死の秘密いだく<崖の館>。
財産目録作成のために再び集まった涼子たちだが、招聘した鑑定家は予定より一人多く来た。
招かれざる客の目的とは。
奇妙な緊張を孕んだまま迎えた一日目の夜、聖書を携えた少女が館に保護された。
以降、人知を超えた出来事が館で立て続く。
幻視的世界の秘密を纏い繰り広げられる密室劇は終局に至って驚くべき展開を遂げる。


<館>三部作第2弾。
再び館に集まった従兄妹たちと、皆腹に一物ありそうな鑑定家たちが繰り広げる新たな惨劇です。
今回は、前作「崖の館」よりさらに少女趣味的。
主人公・涼子の心理描写の数々は、少女漫画もハーレクインも真っ青な恥ずかしさです。
前作で慣れていたはずの私も、ちょっとこの雰囲気は…とうろたえました。
そして肝心のミステリとしての展開ですが、これは私にはちょっと不満。
ここで使用された“トリック”は私にとって苦手なものだったのです。
好みの問題ですね。

一応「崖の館」のネタバレは極力避けられてはおりますが、それでも何となく読み取れてしまいますので、是非1作目からどうぞ。
| [国内作家:さ行]佐々木丸美 | 22:06 | comments(0) | - |
崖の館/佐々木丸美
評価:
佐々木 丸美
東京創元社
¥ 680
(2006-12-21)
財産家のおばが住まう崖の館を訪れた高校生の涼子といとこたち。
ここで二年前、おばの愛娘・千波は命を落とした。
着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。
家族同然の人たちの中に犯人が?
千波の死も同じ人間がもたらしたのか?
雪に閉ざされた館で各々推理をめぐらせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる。


1977年に発表された<館>三部作の第1作です。
こうして東京創元社から復刊されなければ、私は作者の名前も知りませんでした。
嬉しい出会いです。

作品は、ミステリとしては古典的な“館モノ”。
嵐の孤島ならぬ、崖に立つ陸の孤島と化した館で、従兄妹たちが集まります。
そこでは2年前、資産家の叔母の養女となっていた従兄妹の一人が崖から転落して死亡していて、それが事故だったのか殺人だったのか判明してもいません。
そして皆口をつぐみ、事故だったと言い聞かせてはいるものの、心のどこかで殺人だったのではないか、そして犯人は自分たち家族同然の従兄妹たちの中にいるのではないかと疑心暗鬼になっている。
そんな状況で不思議な事件が続き…という展開。
特筆すべきは、その文体。
視点が涼子という従兄妹たちの中で最年少の女の子なので、非常に少女趣味的。
詩的とも言える文章で綴られる殺人事件は、その結末とあいまって幻想的です。
これが合わなければ仕方がありませんが、事件と展開そのものはミステリの手法そのままなので、館モノ好きな方は是非チェックしてみて欲しい作品でした。
| [国内作家:さ行]佐々木丸美 | 21:38 | comments(0) | - |
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