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さよならバースディ/荻原浩
ボノボを巡る研究者達を描く傑作ミステリー
霊長類研究センターを舞台に、そこで働く研究者の恋など、実験対象のボノボを巡ってまき起こる人間ドラマ。
著者特有の優しい視点で、愛する人を失う哀しみと学会の不条理を描く上質のミステリー。


霊長類研究センターで、前任の教授が不可解な死を遂げた後研究をまかされている田中は、バースディの能力をスポンサーたちに披露することに成功し興奮していた。
私生活でも、と同じセンターで研究をしている博士課程の恋人の由紀にプロポーズをするが、曖昧な態度を取られてしまう。
断られたと自棄酒を飲んでいた田中は、彼女の自殺という衝撃的な電話で起こされてしまい……というストーリーです。

霊長類の能力とミステリというと、どうしても「猿の証言」(参考)を思い出してしまいます。
比べる方がおかしいと思いつつもあれを超えて欲しいと期待してしまうのも荻原浩という作家でして、結果、物凄く残念な気分になっております。
先が読める展開と、主人公の男の気持ち悪さが、受け入れがたかったです。
思わせぶりに匂わされる前任のセンターで自殺した教授の存在で面白くなるのかと思いきや、ミステリというにはあまりに直球。
主人公の研究員を気持ち悪く思うのも、この「直球」具合にある気がします。
恋人の死で荒れる点はまだしも、その死を読み解くために猿を使うあたりに何の葛藤もないのが気味が悪い。
ただ読みやすいのは読みやすかったので、この私の評価の低さは本当に趣味の問題なのかなぁとも。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]荻原浩 | 22:24 | comments(0) | - |
僕たちの戦争/荻原浩
“根拠なしポジティブ”の現代のフリーターと、昭和19年の「海の若鷲」にあこがれる軍国青年が時空を超えて入れかわった!
それぞれの境遇に順応しつつも、ふたりはなんとか元の時代に戻ろうとするが……。
おもしろくてやがて切ない、愛と青春の戦争小説。


バイト先と上司と簡単に衝突して辞めてしまうようなフリーターの健太は、趣味のサーフィンに出かけ溺れてしまう。
一方、海軍の訓練生・吾一は練習機で墜落。
目が覚めた時にはお互いがお互いの世界にタイムスリップしてしまっていた。
にわかには信じられない二人だったが、お互いがお互いに容赦がない現実が迫り……というストーリーです。

ドラマ化していたこともあって何となくのお話は知っていましたが、想像していたより明るくて軽い戦争モノでした。
著者の他の作品と比べれば笑えるところは少ないかもしれませんが、テーマがテーマなだけに良いバランスだと思います。
戦争を題材にした小説となると、自然暗くて目をそらしたくなるものが多くなりがちですが、これだと読みやすいのではないでしょうか。
戦争の馬鹿馬鹿しさと現代の飽食文化への批判は表現されつつも、全体的に説教臭さが薄い、エンターテイメント作です。
ただ、特に目新しいことも面白い展開もなし。
筆が軽いのでサラッと読めてしまったということもあるでしょうが、あまりにお決まりのストーリーで、驚きが全然ありませんでした。
(タイムスリップものを読もうという観点で手に取ったせいかもしれません)
賛否両論ありそうなラストは好きです。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]荻原浩 | 12:42 | comments(0) | - |
メリーゴーランド/荻原浩
メリーゴーランド
メリーゴーランド
荻原 浩

過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。
愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。
…って、再建ですか、この俺が?あの超赤字テーマパークをどうやって?!
でも、もう一人の自分が囁いたのだ。“やろうぜ。いっちまえ”。
平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが―。
笑って怒って、時々しんみり。
ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。


「くすくす笑えて最後は泣ける、ちょっといい話」系の小説です。
著者お得意のパターンを踏襲しているだけに、テンポ良く読ませてくれます。
ところが愛妻の行動がおかしい?というあたりから妙な展開になり、挿話の「豆を植えた男」にいたっては……あまり書くとネタバレになるでしょうか。
それまで面白おかしく描いていた騒動が、急に現実味を帯びてくるのです。
「こういうことってありそう」という。
理想と現実の折り合いをつけるって難しいですね。
| [国内作家:あ行]荻原浩 | 23:30 | comments(0) | - |
噂/荻原浩
噂

荻原 浩

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。
香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。
口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。
販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。
衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。


スピード感のある展開で、ぐいぐい引っ張ってくれる作品です。
たぶん初期の段階でそういうアイデア(こういうことを書けないのがミステリの感想文の難しいところ)があって、そのために成り立った作品ではないかと思えるものなので、感情移入できるような人物も、嫌になるような悪人もいません。
(“レインマン”の犯行状況は想像するとちょっと気持ちが悪いですが)
エンタテイメント作として、こういう系統は大好き。
短編小説に使われるようなオチじゃないかと思いますが、そうでありながら長編を読める水準で成立させているのですから、さすがです。
| [国内作家:あ行]荻原浩 | 23:21 | comments(0) | - |
コールドゲーム/荻原浩
コールドゲーム
コールドゲーム
荻原 浩

高3の夏、復讐は突然はじまった。
中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。
犯行予告からトロ吉が浮び上がる。
4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。
だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。
光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが―。
やるせない真実、驚愕の結末。
高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。


青春ミステリというのは展開も結末も甘酸っぱくて、登場人物たちが未熟で、それでも皆が通過した「思春期」という共通の思い出があるために共感が出来る作品が多いはずです。
ところがこれは、「現在」において被害者の立場に立たされる主人公以下主要登場人物たちは、「過去」において悪質ないじめの加害者であったのです。
それを忘れ、または忘れたふりをして、平気で生きている少年たちです。
本人たちが本気で過去の過ちを反省しているならいいでしょう。
ですが、そういう気配はない。
復讐されているのではないかと気付いても、反撃しようという方向にしか話が進みません。
それが居心地の悪さを作り出していて、最後までそれは消えません。
ラストも座り心地が悪い。
後味が悪いわけではないのですが、いじめという問題を扱っているだけに、すっきりしないものがあります。
それが良いのです。
もともと文章は読みやすいですし、私は好きでした。
| [国内作家:あ行]荻原浩 | 21:25 | comments(0) | - |
ハードボイルド・エッグ/荻原浩
ハードボイルド・エッグ
ハードボイルド・エッグ
荻原 浩

フィリップ・マーロウに憧れ、マーロウのようにいつも他人より損をする道を選ぶことに決めた「私」と、ダイナマイト・ボディ(?)の秘書が巻き込まれた殺人事件。
タフさと優しさを秘めたハードボイルド小説の傑作。


ハードボイルド小説というよりは、普通にミステリでしょう。
「誘拐ラプソディー」と同じ系統の、「クスクス笑えて最後は泣ける、ちょっといい話」です。
もちろん、マーロウとは影も形も似ていない主人公の情けなさが私は大嫌いなので、これが荻原作品初読だったのですが、しばらくこの著者は避けようと誓いました。
文章が合わないんですよね…。
特にこの系統のお話を書くぞ!と著者が決めている時の。
これは本当に私の独断と単なる趣味の問題です。
| [国内作家:あ行]荻原浩 | 21:19 | comments(0) | - |
誘拐ラプソディー/荻原浩
誘拐ラプソディー
誘拐ラプソディー
荻原 浩

伊達秀吉は、金ない家ない女いない、あるのは借金と前科だけのダメ人間。
金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」とばかりに張り切ったものの、誘拐に成功はなし。
警察はおろか、ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。
しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう―。
はたして、史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。


主人公の伊達秀吉は、名前は立派なくせに、とことんダメ男。
冒頭の自殺未遂シーンの滑稽さから、根性なしだということがわかります。
一方、自ら誘拐されることを選択した伝助も、頭は悪くないようでもどこか頭のネジが一本ずれたような子供。
この二人の掛け合いで物語りはすすみます。
基本的に予定調和の物語で安心して読めるのですが、私はこの系統の話が苦手。
「ちょっといい話」がお好きな方にはおすすめしますが、私のように馬鹿な主人公がドタバタしているうちに話がすすむのがとてつもなく嫌いな人には要注意です。
(そんな捻くれた本読みも、そうそういないと思いますが)
| [国内作家:あ行]荻原浩 | 16:35 | comments(0) | - |
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