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ダナエ/藤原伊織
評価:
藤原 伊織
文藝春秋
¥ 510
(2009-05-08)

世界的な評価を得た画家・宇佐美の個展で、財界の大物である義父を描いた肖像画が、切り裂かれ硫酸をかけられるという事件が起きた。
犯人はどうやら少女で、「これは予行演習だ」と告げる。
宇佐美の妻は、娘を前夫のもとに残していた。
彼女が犯人なのか――。
著者の代表作といえる傑作中篇など全3篇収録。


短編集で
「ダナエ」「まぼろしの虹」「水母」
の計3編を収録。

食道癌で二年前に亡くなった著者の、存命中最後に刊行された短編集となります。
表題作は乱歩賞作家のアンソロジーに収録されていたもの、「水母」は2002年に発表された「卒業」を改題、「まぼろしの虹」は病を得てからの作品です。
書かれた時期はそれぞれ違いますが、どれも著者らしい派手さの中に渋味がある作品だと感じました。
会話のうまさも、一癖あるキャラクタも、わかりやすい哀愁も、大好きです。
するっと読める親しみやすさだけだと思うと、なんとも言えない余韻もある……著者の作品の特徴がよくわかる作品集だと思います。

その死が、つくづく残念でなりません。



JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 15:22 | comments(0) | - |
遊戯/藤原伊織
評価:
藤原 伊織
講談社
¥ 520
(2009-05-15)

「現実とネットの関係は、銃を撃つのに似ている」。
ネットの対戦ゲームで知り合った本間とみのり。
初対面のその日、本間が打ち明けたのは、子どもの頃の忌まわしい記憶と父の遺した拳銃のことだった。
二人を監視する自転車に乗った男。
そして銃に残された種類の違う弾丸。
急逝した著者が考えていた真相は。


短編集で、連作として
「遊戯」「帰路」「侵入」「陽光」「回流」
が、加えて短編
「オルゴール」
の計6編が収録されています。


※ネタバレ注意!!
少しでも重要な内容を知りたくないという方はこの感想は読まないで下さい!!※


著者の逝去により未完となった連作短編集です。
最初にそれを聞いた時は、酷いと思ったものですが、あらためて読んで残念さと共に、これでも良いじゃないかと思いました。
この連作では、結局謎が明かされないままです。
ですが、それほど唐突なラストなわけでもありません。
人生において不思議なことや謎が結局解明されないままなんてことは、よくあるものでしょう。
この「ハッピーエンド」で良いじゃないか。
「回流」の最後で感じました。

もちろん、気にはなります。
出来が良いだけになおさらです。
神奈川県警の刑事であるみのりの父親の再婚相手の前夫の死が、本間が持っている父親の銃と関係してくるのかな?と思いながら読んでいたのですが……。
前夫は公務員で、銃撃されて死亡してる設定です。
なので単純に。
しかしそれだと、本間がターゲットであるような記述だった、気味の悪い自転車の男はどう絡んでくるのか、さっぱりです。

癌を宣告されての著作、それも未完である遺作でこれだけ楽しめるというのは、さすがに藤原伊織と思います。
これを機に、全著作を読み直しているのですが、本当に惜しい作家を亡くしました。
もう新作を読めないのかとあらためて思うと、言いようがない寂しさでいっぱいです。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 12:29 | comments(0) | - |
シリウスの道/藤原伊織
評価:
藤原 伊織
文藝春秋
¥ 540
(2006-12)
大手広告代理店・東邦広告に勤める辰村祐介には、明子、勝哉という2人の幼馴染がいた。
この3人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。
その過去が25年の月日を経た今、何者かによって察知された…。
緊迫した18億円の広告コンペの内幕を主軸に展開するビジネス・ハードボイルドの決定版ここに登場。


大手広告代理店に勤務する辰村が18億円の新規広告をコンペで争うことになる。
社内の別のグループが請け負って当然の相手からだったのに、名指しで指名されたのだ。
そのことで軋轢を抱えながら、有能な仲間たちとコンペに挑む辰村だったが、25年前の「ある出来事」が漏れ、当時守ろうとした明子が脅迫されている事実を聞かされ……というストーリー。

純粋にミステリとしては弱いとは思うのですが、ハードボイルドやサスペンスとしてはかなり読ませてくれます。
それに著者本人が電通にかつて勤務したという経験が存分に生かされて、辰村らの仕事描写の活き活きしていることといったら、凄い。
馴染みのない単語が頻出しますが、プロジェクトチーム内に新人君が一人配置されているので、彼に説明するという形式で違和感なく描かれていて難しくありません。
また主人公以下キャラクタが良い。
前述の新人君もどんどん良い男になっていくし、女性上司も格好良いし、同じ女なら派遣でやってくる株に詳しい女の子もいい。
読みやすさは相変わらずですし、ファンには嬉しい「テロリストのパラソル」(参考)とのちょっとしたリンクもあります。

上・下巻完結。
シリウスの道〈下〉
シリウスの道〈下〉
藤原 伊織
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 10:37 | comments(0) | - |
蚊トンボ白鬚の冒険/藤原伊織
蚊トンボ白鬚の冒険〈上〉
蚊トンボ白鬚の冒険〈上〉
藤原 伊織
蚊トンボ白鬚の冒険〈下〉
蚊トンボ白鬚の冒険〈下〉
藤原 伊織

羽音と不思議な声がすべての始まりだった…。
陸上競技への夢を断念し、水道職人となった若者・達夫の頭の中に、ある日奇妙な生物が侵入してくる。
その名も蚊トンボ・シラヒゲ。
超人的能力を得た達夫は、アパートの隣人・黒木を理不尽な暴力から救う。
しかし、それは恐るべき闇社会との対決を意味していた。


これは好みの問題なのですが、私は前提に納得が出来ないと話に入り込めないのです。
これだと白鬚ですね。
脳内に蚊トンボが宿って超人的な能力を得る…という点でアウト。
お話自体はいつもの作風と変わらないので、こんな設定で良いのか?と思いながら読めば面白いことは違いない。
一気に読み終わりました。
でも白鬚…(こだわる)
何かの暗喩なんだろうかと思いつつ考えることを放棄。
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 00:40 | comments(0) | - |
ダックスフントのワープ/藤原伊織
ダックスフントのワープ
ダックスフントのワープ
藤原 伊織

大学の心理学科に通う「僕」は、ひょんなことから自閉的な少女・下路マリの家庭教師を引き受けることになる。
「僕」は彼女の心の病を治すため、異空間にワープしたダックスフントの物語を話し始める。
彼女は徐々にそのストーリーに興味を持ち、日々の対話を経て症状は快方に向かっていったが…。
表題作ほか三篇。


藤原伊織といえば「テロリストのパラソル」なのでしょうが、私は何故かこの作品を真っ先に思い出します。
それだけでなく、忘れっぽい頭の持ち主だというのに、ストーリーを完全に思い出すこともできます。
好きなのでしょうね。
表題作他、収録は
「ネズミ焼きの贈りもの」「ノエル」「ユーレイ」
の3編。
「ネズミ焼きの贈りもの」の後味の悪さは印象深い。
オチのキレがいいだけなのに。
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 00:30 | comments(0) | - |
てのひらの闇/藤原伊織
てのひらの闇
てのひらの闇
藤原 伊織

飲料会社宣伝部課長・堀江はある日、会長・石崎から人命救助の場面を偶然写したというビデオテープを渡され、これを広告に使えないかと打診されるが、それがCG合成である事を見抜き、指摘する。
その夜、会長は自殺した。
堀江は20年前に石崎から受けたある恩に報いるため、その死の謎を解明すべく動き出すが…。


んん?堀江ってどこかで見た名字だな…?と思ったら「雪が降る」の1編・「紅の樹」の主人公と同じ名字でした。
そんなことはさておき、これは長編ハードボイルドです。
登場人物が格好良すぎて、私はヤクザは嫌いだ嫌いだ嫌いだ…と呪文(?)を唱えないといけなくなくなりそうでした。
また同じパターンか…というあきらめは、安心感につながります。
この人の作品は文章がうまいのでしょうか、どこまでも違和感なく読みやすいのが下支えになっていますね。
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 00:14 | comments(0) | - |
雪が降る/藤原伊織
雪が降る
雪が降る
藤原 伊織

母を殺したのは、志村さん、あなたですね。
少年から届いた短いメールが男の封印された記憶をよみがえらせた。
苦い青春の日々と灰色の現在が交錯するとき放たれた一瞬の光芒をとらえた表題作をはじめ、取りかえようのない過去を抱えて生きるほかない人生の真実をあざやかに浮かびあがらせた、珠玉の六篇。


収録は
「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」
の計6編。

「台風」は仕事の成果が上がらないことへの懲罰として受話器と手をガムテープでくっつけられた部下が上司を社内で刺すところからはじまります。
そこで主人公は、彼がビリーヤードをしていたことを聞き、過去の記憶を蘇らせる…という物語。
表題作「雪が降る」は、少年からのメールがきっかけ。
「銀の塩」は島村とオーバーステイしているバングラディッシュ人・ショヘルの物語です。
島村は「テロリストのパラソル」の島村ですね。
タイトルの銀の塩とはバングラディッシュでの「星は神様が塩を銀に変えて撒いたもの」という話からだそうですが、その儚さが加わった余韻がいいです。
作品自体も好きですし、やはり島村というキャラクタに愛着があるのか、この中で一番好きでした。
超短編なのが「トマト」
「紅の樹」は過去暴力団に在籍し逃走した男が、アパートの隣室に越してきた訳あり母子と関わるハードボイルド。
「ダリアの夏」はデパートの配送人が奇妙な一家と知り合う一夏。
夏の暑さとダリアの鮮やかな赤が印象に残ります。

もともと文学の方の人なせいか、この短編集は洗練された印象を受けます。
言葉が少なくても豊かな物語を作ることが出来るということでしょう。
おすすめです。
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 23:14 | comments(0) | - |
ひまわりの祝祭/藤原伊織
ひまわりの祝祭
ひまわりの祝祭
藤原 伊織

自殺した妻は妊娠を隠していた。
何年か経ち彼女にそっくりな女と出会った秋山だが、突然まわりが騒々しくなる。
ヤクザ、闇の大物、昔の会社のスポンサー筋などの影がちらつく中、キーワードはゴッホの「ひまわり」だと気づくが…。
名作『テロリストのパラソル』をしのぐ、ハードボイルド・ミステリーの傑作長編。


五百万もの金を捨てたいとかつての先輩から頼まれ、非合法カジノへ行き、自殺した妻にそっくりな女性と出会う…。
この滑り出しは良いです。
「テロリストのパラソル」と登場人物が似ているのも、私は嫌いではありません。
何作書いてもキャラクタ設定が似通ってしまう作家さんというのは少なくありませんし、それが味でしょう。
展開も安心して読めるレベル。
というか「テロリスト…」より好きです。
上手くなっていると思います。
じゃあ一体何が気に入らないかと言うと、主人公の自殺した妻にそっくりな女・麻里の扱いです。
物凄く魅力的な設定を持って登場したにもかかわらず、その存在感のなさったら!
ちょい役ではなく最後まで主人公と関わるくせに、何故か軽い。
プロットを優先したせいなのか、単に私の気分の問題なのか、とにかく麻里の存在に不満が残ってしまい読後感のよくない作品でした。
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 22:58 | comments(0) | - |
テロリストのパラソル/藤原伊織
テロリストのパラソル
テロリストのパラソル
藤原 伊織

アル中バーテンダーの島村は、過去を隠し二十年以上もひっそり暮らしてきたが、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから生活が急転する。
ヤクザの浅井、爆発で死んだ昔の恋人の娘・塔子らが次々と店を訪れた。
知らぬ間に巻き込まれ犯人を捜すことになった男が見た真実とは…。
史上初の第41回江戸川乱歩賞・第114回直木賞受賞作。


全共闘時代の幻想、古めかしいハードボイルド、ミステリとしての展開の甘さ、等々十分承知した上で面白いです。
冒頭のテロシーンから一気に引き込まれ、すっかり夢中になってしまいました。
最後までだれることなく読ませてくれます。
乱歩賞というのはサスペンス寄り、しかも玄人好みの作品が多く、素直にエンタテイメントとして楽しめるものが多くないという認識があるのですが、これはおすすめです。
| [国内作家:は行]藤原伊織 | 22:36 | comments(0) | - |
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