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三つの秘文字/S.J.ボルトン、法村里絵訳
シェトランドに越してきたトーラは、ある日女性の死体を掘りあててしまう。
心臓がえぐられ背中に三つのルーン文字が刻まれた遺体は、出産後間もない身だったことを語っていた。
やがて身元が判明するが、彼女は遺体から推定される死亡年月の前年に死んだことになっていた。
閉鎖的な島になじめず苦悩する女医が巻き込まれた不可解な事件。
MWA賞受賞の新鋭が放つ傑作英国ミステリ。



夫の仕事の都合でロンドンからシェトランド諸島にやってきた産婦人科医のトーラは、愛馬を埋めようと庭を掘り返していて死体を発見してしまう。
心臓を抉り出された死体は女性のもので、出産間もないこと、授乳もしていることがわかる。
そして背中にはルーン文字が刻まれていた…。
排他的な地で、事件そのものを「たいしたことではない」ように扱おう、トーラに忘れさせようとする力に逆らい、同じようにシェトランドにやってきたばかりのタラク巡査部長と共に調査に乗り出すが……というストーリーです。

陰気で閉鎖的な、作中の言葉を使うなら『ブロンドの大男たちの小さいけれどとても強力な集団が、すべてを動かしている』、代々そこに住み同じ学校に通い皆が顔見知りな男たちによって社会が構成されている島の、息がしづらいような雰囲気が、理知的だけどヒステリックな部分もある主人公のギスギスした状況と合わさって、見事に表現されていると思いました。
手に取った時に、横溝っぽい?と思ったそのままのイメージです。
頼れる夫も義両親も、病院の上司も警察ですら怪しい。
よそ者だというだけで看護師からは冷たい目で見られ、あまり打ち解けられない性格故に余計に孤立していく様には、何とも言えない共感を覚えました。
「夫の都合で誰も知る人のいない地域に引越す」という事態は、別に日本でも珍しいものではないでしょう。
加えて産婦人科医でありながら、自分は望む妊娠が出来ないという辛さも加わって、異常な事件に巻き込まれていくというより自ら突き進んでしまう流れに納得。

一気に最後まで読んで、しかし冷静になってみるとツッコミたい部分が多いこと多いこと。
謎に関わる部分だけに具体的に書けませんが、そういう解決方法はいかがなものかと思っちゃいました。
好みの問題だと思うのですが、最後にもやもやしたものが残るのは残念。


JUGEMテーマ:読書
| [海外作家:A〜E]S.J.ボルトン | 09:57 | comments(0) | - |
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