スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
鹿男あをによし/万城目学
大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。
失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。
ほんの気休めのはずだった。
英気を養って研究室に戻るはずだった。
渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。
彼に下された謎の指令とは?
古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。


所属していた大学の研究室で、助手との諍いから立場を悪くした「おれ」は、教授の紹介で奈良にある女子高の代休教師となる。
ところが赴任早々、担当クラスの生徒から忌み嫌われ、しかも鹿に話しかけられるという経験までしてしまう。
おれは神経衰弱ではないのかと苦悩するものの、鹿につきまとわれ、ついには……というストーリーです。

人語を操る鹿という設定に笑ってしまいました。
もちろん、数々の小説では鹿どころかネズミが地球最高の頭脳の持ち主だったり、生物どころか無機物が喋ったりと何でもありですが、妙に笑えるシチュエーションなんです。
奈良に観光に行き、その鹿の存在感に驚かれた方もいらっしゃると思いますが、本当にあちこちにいてまったり過ごしています。
その鹿に話しかけられる、もうすぐ三十路の高校教師という設定だけで笑えてしまいます。
大好きです。
ストーリーは平凡でしたが、読みやすさはかわらず。
主人公の良き同僚・藤原君の存在感が素敵でした。
こういうキャラクタの造形がうまいです。
それに、文体にしろ展開にしろ、良い意味でも悪い意味でも安定感抜群です。

しかし、著者のデビュー作(参考)で感じたような馬鹿馬鹿しいけど青春だよね!という良さがあまり感じられませんでした。
大和杯のくだりなんか、もっとわくわくしても良いような気がするのですが……。
やはり主人公がオッサンだからでしょうか。
恋にするには、立場が悪いですし。
それに妙な哀愁が漂っていました。
このあたりは好みの問題かな、と思います。

読後人生の教訓は得られたりしないですし、胸えぐる衝撃もないですが、たまにはこういうただただ楽しい作品も良いものです。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:ま行]万城目学 | 10:36 | comments(0) | - |
鴨川ホルモー/万城目学
評価:
万城目 学
角川グループパブリッシング
¥ 540
(2009-02-25)

このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。
葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。
腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。
このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。
祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。
「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。
戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。
恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。
京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。
都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。
前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。
「鴨川ホルモー」ここにあり。


葵祭でのバイトの帰り道、同じ京大生だという高村と歩いていた安倍は、京大青竜会という怪しげなサークルの勧誘ビラを受け取る。
宗教の勧誘では?と疑いつつも、貧乏な安倍は新勧コンパに飲み食いするためだけに顔を出す。
そこには高村も。
そして同じ新入生(の鼻)に一目惚れし、そのままサークルに入ることに。
そのサークルが一体何を目的としているのかを知るのは、祇園祭宵山でのことだった……というストーリーです。

第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作です。
軽い、テンポの良いエンタテイメント作にうまく仕上がっていて、そこを楽しみました。

非常に馬鹿馬鹿しい物語でした。
そもそもタイトルの“ホルモー”とは何なのかは中身を読んでいただくとして、その語感から馬鹿馬鹿しい。
その馬鹿馬鹿しさが、そのまま面白さに直結していました。
しかもゴテゴテとした装飾(ホルモーなり鬼なり)をとってしまえば、単なる青春もの。
恋と友情はいつの時代も若者に普遍のテーマです。
その「平凡さ」に納得すると共に、少し物足りなさを感じはしましたが……。

主人公の安倍が頑固でそこそこにスケベで生真面目で鈍感なところも好感が持てました。
あと、何と言っても親友・高村のわけのわからなさは一品です。
(もちろん物凄く“良い”男ですが)


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:ま行]万城目学 | 12:42 | comments(0) | - |
| 1/1PAGES |