スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
看守眼/横山秀夫
評価:
横山 秀夫
新潮社
¥ 540
(2009-08-28)

刑事になるという夢破れ、留置管理係として職業人生を閉じようとしている、近藤。
彼が証拠不十分で釈放された男を追う理由とは(表題作)。
自叙伝執筆を請け負ったライター。
家裁調停委員を務める主婦。
県警ホームページを管理する警部。
地方紙整理部に身を置く元記者。
県知事の知恵袋を自任する秘書。
あなたの隣人たちの暮らしに楔のごとく打ち込まれた、謎。
渾身のミステリ短篇集。


短編集で
「看守眼」「自伝」「口癖」「午前五時の侵入者」「静かな家」「秘書課の男」
の計6編を収録。

横山秀夫の描く人間は、読んでいて本当に心に痛いです。
人間味がありすぎるんです。
彼らがする選択というのが、ギリギリで、その間違いも含めてありえて、ついつい感情移入してしまいます。
そうすると読書中感じるのは、焦燥感。
読後ホッとさせられるものならまだしも、そうではないものだと、本当にしんどいです。
ただ、そうなるのは決まって男性が主人公の作品のみ。
せっかくの表題作「看守眼」や家裁調停委員をする女性が主人公の「口癖」は、私には上っ面だけのような気がしてなりません。
著者が男性だから、と言ってしまうと小説家としての想像力を端から認めないようで嫌なのですが……今まで読んだ著者の作品でも同じような印象なんですよね……。
個人的に、面白いよ!と素直に人に薦めにくいのは、この辺りに原因があります。
加えて、読後冷静になってみればストーリーに首を傾げたくなるものもこの短編集には多く、著者のレベルからするとやや残念かな、と思います。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 23:42 | comments(0) | - |
臨場/横山秀夫
評価:
横山 秀夫
光文社
¥ 620
(2007-09-06)

臨場――警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいう。
捜査一課調査官・倉石義男は死者からのメッセージを的確に掴み取る。
誰もが自殺や病死と疑わない案件を殺人と見破り、また、殺人の見立てを「事件性なし」と覆してきた。
人呼んで『終身検死官』――。
組織に与せず、己の道を貫く男の生き様を、ストイックに描いた傑作警察小説集。
全八編。


連作短編集で
「赤い名刺」「眼前の密室」「鉢植えの女」「餞」「声」「真夜中の調書」「黒星」「十七年蝉」
の計8編を収録。

『終身検死官』の異名を持つ調査官・倉石義男という、破天荒ながら検死の腕は伝説に近い男を中心に据えた物語です。
しかし。彼を取り巻く様々な人が語り手となります。
「赤い名刺」では部下の一ノ瀬が、続く「眼前の密室」では県民新聞記者の相崎が……という風に、各話ごとに視点が変わります。
それでも、話のすべては「臨場」と呼ばれる検死がテーマであり、それで浮かび上がるのは倉石という男の生き様です。
警察小説と短編に実績のある著者だけに、さすがの一言。
読み応えもありますし、短編なだけに読みやすさもあります。

私はすっかり倉石のキャラクタにはまってしまいました。



JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 17:09 | comments(0) | - |
真相/横山秀夫
評価:
横山 秀夫
双葉社
¥ 630
(2006-10)

犯人逮捕は事件の終わりではない。
そこから始まるもうひとつのドラマがある。
──息子を殺された男が、犯人の自供によって知る息子の別の顔「真相」、選挙に出馬した男の、絶対に当選しなければならない理由「18番ホール」など、事件の奥に隠された個人対個人の物語を5編収録。
人間の心理・心情を鋭く描いた傑作短編集。


短編集で
「真相」「18番ホール」「不眠」「花輪の海」「他人の家」
の計5編を収録。

そういえば読んでいなかった、と積読本の山から引っ張り出して今さら手に取りました。
表題作である「真相」にだけ目を通していたようで、そういえばあまりに暗い内容に後回しにしたんだっけ、と思い出したり。
そして結局、どの作品も重厚で上手いものの、とにかく暗い。
救いがないとまでは言いませんが、追い詰められていく登場人物に感情移入して気分が沈んだり、「やっぱりこうなっちゃうか……」という展開にガックリしたり。
好みの問題でしょうが、精神状態が悪い時には読むものではないと思います。

しかしやはり短編の名手と言われるだけあって、読み応えは抜群。
短い物語の中で、よくこれだけ読ませてくれるなぁと感心してしまいます。
わりとありがちな展開かな?と思うものもありますが、奇想はうまさに大きく関係はしないものですね。

心に残ったのは「他人の家」です。
良くない仲間と一緒に強盗殺人を犯し、自分を一途に愛してくれる女性と一緒になって、出所して更生したものの、過去がついてまわる男の話ですが、ミステリのオチもあり、やるせなさもあり、タイトルも好きで気に入っています。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 11:08 | comments(0) | - |
ルパンの消息/横山秀夫
評価:
横山 秀夫
光文社
¥ 740
(2009-04-09)
十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人――。
警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。
当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。
捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。
時効まで二十四時間、事件は解明できるのか。


15年前に自殺として処理された高校女性教師の墜落死が実は殺人事件だったというタレコミがあったことが警視庁からもたらされ、その殺人犯として名指しされた三人が集められる。
その高校に当時在学していた三人は期末テストの問題を盗み出すために、事件が起きた当時校内に潜んでいたというのだ。
一体何があったのか、15年前の出来事が生々しく語られていく。
しかし時効はすぐそこに迫っていた……というストーリーです。

第9回サントリーミステリー大賞にて佳作を受賞した、著者の処女作の改稿版です。
ノベルス版で登場した際にも手が加えられていたようですが、文庫版はまたそれにさらに改稿が加えられたとのことでした。

エンタテイメント性の高いサスペンス、ミステリでした。
15年前の高校生たちの出来事と現在が交互に語られる形式で、過去はいわゆる不良の少年たちの青春物語でもあり、現在はいかに時効前に事件の謎を解明し犯人を特定するのかのミステリです。
このあたりのバランスに甘いというか、処女作だからかなと思わせる部分があって、現在の著者のうまさを知る身としては微笑ましい感じを受けました。
事件そのものも単なる女性教師殺害事件から超有名事件にまで話が飛んで、派手すぎる程に派手ですし。
どこまで著者が改稿したのかはわからないのですが、もしかするとそのせいで余計にそう思えるのかもしれません。
下手でもいったんまとまったはずの作品に後から書き加える(削る)というのは難しい作業だと思うので……。
ただ、最後まで一気に読ませる力はある作品でした。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 23:19 | comments(0) | - |
震度0/横山秀夫
阪神大震災の朝、N県警本部警務課長・不破義人が姿を消した。
県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか?
キャリア、準キャリア、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が、複雑に交錯する……。
組織の本質を鋭くえぐる長編警察小説。


昔から見続ける奇妙な夢が始めて途中までで目を覚ました朝、椎野本部長は神戸で起きた大地震の一報を聞くと共に、信頼する部下・不和警務課長が昨夜から行方不明になっていると聞かされる。
筆頭課長の失踪に、事件なのか事故なのか、動揺する県警幹部たち。
背後にある謎に、自分達のプライドをかけて動くが……というストーリーです。

正直がっかりしました。
著者の警察もので外れはそうそうないだろうとか、あの阪神大震災を背景にしたとあって、同じく御巣鷹山事故を背景にした「クライマーズ・ハイ」のような重厚なものを想像したせいか……。
キャラクタがベタなのはそんなに気にならないのですが、長編で引っ張るようなストーリーの厚みがありません。
短編のオチではないでしょうか。
逆にストーリーをこれでいくというのなら、もっとキャラクタに感情移入させるような何かが欲しいところ。
雰囲気は嫌いになれないだけに、残念です。
やはり著者は他視点の長編作品は書くべきではないのではないかと思ってしまいました。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 17:08 | comments(0) | - |
出口のない海/横山秀夫
評価:
横山 秀夫
講談社
¥ 620
(2006-07-12)
人間魚雷「回天」。発射と同時に死を約束される極秘作戦が、第二次世界大戦の終戦前に展開されていた。
ヒジの故障のために、期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手・並木浩二は、なぜ、みずから回天への搭乗を決意したのか。
命の重みとは、青春の哀しみとは――。
ベストセラー作家が描く戦争青春小説。


ヒジを壊した甲子園優勝投手・並木は、女房役の剛原に「魔球」を投げると宣言していた。
しかし時代は太平洋戦争末期。
野球部は解散状態になり、並木は軍で人間魚雷「回天」への搭乗を志願した……というストーリー。

そこかしこに違和感のあるお話でした。
戦争が時代背景にあり、かつ主人公が特攻することが明記されている物語ですから、行き着くところはわかっています。
そういう話で作家の腕の見せ所といえば、読者にいかにキャラクタに感情移入させ、山あり谷ありの物語で一緒に一喜一憂させるかでしょう。
それが難しい作品だったと思います。

こうなると、単に私に「合わなかった」というだけのようですが、並木以下どのキャラクタに感情移入できたのか他の方に聞きたいぐらいです。
今生きている人間からすると確かに特攻は馬鹿馬鹿しいことかもしれませんが、当時は大真面目に行われたことですし、大真面目にお国のためにと死んでいった方もいらっしゃったでしょう。
特攻を志願する男の内面がアレでは、萎えます。
横山氏の作品の登場人物は皆「イラつく」奴らばかりなのですが、その中でも一、二を争う駄目男で、深みもない。
作品紹介の文章からプロローグで登場する剛原の視点で「かつての甲子園優勝投手はいかにして回天に乗るに至ったか」という形式だと勘違いしてしまったため、彼を“神格化”したかったのならなよなよした内面を彼視点で描かなきゃいいのに、と余計に思ってしまいました。
横山氏は多くのキャラクタの視点を同時に描く文章に向いていないかと。
設定は魅力的なだけに残念。
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 16:35 | comments(0) | - |
クライマーズ・ハイ/横山秀夫
評価:
横山 秀夫
文藝春秋
¥ 660
(2006-06)
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。
衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。
一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。
組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは――。
あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。


悠木は衝立岩と呼ばれる垂壁を、山をこよなく愛していたかつての同僚・安西の息子と登ろうとしていた。
そこは17年前、日航機墜落事故のため安西と登る約束が果たせなかった場所である。
あの事故で、地元新聞社の記者である悠木は全権デスクに任命され、上司や組織と対立し、自殺した部下のことは心に重くのしかかり、過去の家族の問題はトラウマであり、息子とはうまくいっていない、そんなギリギリの日々を過ごしていた……というストーリー。

あの御巣鷹山の事故は「背景」に過ぎません。
未曾有の大事故に右往左往する当時の記者たちの仕事姿を描きながら、本筋はそれではなく人生そのものなのでしょう。
中年の男が山を登りながら過去を振り返る形式ですから、余計に。
「現在」で進行する山登りの経過と、事故によって露呈した様々な問題に立ち向かった「過去」が交互に描かれ、そのどちらもが徐々に盛り上がり絡み合っていくラストは派手ではありませんが、静かな満足感が得られました。
それに同僚・安西の言葉「下りるために山に登る」の“謎”が追いかけられていく様はきちんとミステリです。
著者は長編がうまくない人だと思っていましたが、こういう途切れ途切れの形式とはいえ、これは読み応えがありました。
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 16:05 | comments(0) | - |
第三の時効/横山秀夫
第三の時効
第三の時効
横山 秀夫

殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず、巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!?
刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる表題作ほか、全六篇の連作短篇集。
本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い本作を貫くのは、硬質なエレガンス。
圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ―。
大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。


横山作品の中で一番です。
私の連作短編贔屓が根底にあるにしても、それでも何が良いかと聞かれればこれを推します。
シリーズ化されたのが嬉しい限り。

収録は
「沈黙のアリバイ」「第三の時効」「囚人のジレンマ」「密室の抜け穴」「ペルソナの微笑」「モノクロームの反転」
の計6編。
どれも鮮やかで切れ味鋭いのですが、「第三の時効」は表題作にふさわしい派手さも具えた作品ですね。
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 00:54 | comments(0) | - |
半落ち/横山秀夫
半落ち
半落ち
横山 秀夫

「妻を殺しました」
現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。
動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。
梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは―。


映画化もされたベストセラー作品。
長編なのですが、章ごとに視点が警察官や裁判官、新聞記者…と変わる形式で、相変わらずというか連作短編のような味わいになっております。
一気に読みました。
物語の鍵になる梶の二日間の秘密は、結構簡単にわかります。
想像力のある人やミステリ小説を読みなれている方なら展開まで全部読めるのではないかというぐらい、普通。
それでも一気読みさせる力があるのですから、さすがということでしょうか。
しかしこれでは泣けません。
筆が硬質で淡々としていて、その巧さにばかり目がいってしまって、小説としては面白いのですが、「泣き物」を期待すると駄目かも。
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 00:46 | comments(0) | - |
顔 FACE/横山秀夫
顔 FACE
顔 FACE
横山 秀夫

「だから女は使えねぇ!」
鑑識課長の一言に傷つきながら、ひたむきに己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。
瑞穂が描くのは、犯罪者の心の闇。
追い詰めるのは「顔なき犯人」
鮮やかなヒロインが活躍する異色のD県警シリーズ。


仲間由紀恵主演でテレビドラマ化もされた作品。
「陰の季節」に収録されている「黒い線」の完全な続編です。
そちらから先に読むことをおすすめします。
全体としては長編なのでしょうが、事件ごとに章立てされていて連作短編の雰囲気が残ります。

私はこの作品は好きではありません。
主人公の瑞穂が頑張る姿は清々しいですし、警察での女性蔑視の雰囲気という背景も嫌いではありません。
ですが完成度はイマイチ。
続編化し、それも長編にしたわりに問題に踏み込んでいないように思えるのが一つ。
主人公に感情移入できない点が一つ。
「横山秀夫だから」と過剰に期待しているのかもしれませんが、どうも苦手です。
| [国内作家:や行]横山秀夫 | 00:38 | comments(0) | - |
| 1/2PAGES | >>