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白銀ジャック/東野圭吾
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。
年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。
警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。
雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。
すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。
今、犯人との命を賭けたレースが始まる。圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス。


新月高原スキー場に「爆発物をどこかのゲレンデに仕掛けた。爆発させたくなければ3千万円を渡せ」という脅迫メールが届く。
索道部マネージャーの倉田はスキー場を閉鎖し警察に届け出ることを訴えるが、斜陽産業であるスキー場の経営のために、社長の一言で犯人の要求を呑むことになる。
うまくいった金銭の引渡し。
しかし爆発物が仕掛けられたコースがどこなのか、判明しないまま、さらなる犯人の要求が……。
倉田が事情を話し恐喝金の受け渡しにも協力していたパトロール隊の根津は、スノーボーダーであろう犯人を追いかけようとするが……というストーリーです。

東野作品を読むのも久しぶりでしたが、やはり「先が気になる」「結末が早く知りたい」と思わせてくれる作家さんだなと思いました。
この程好い軽さとエンタテイメント性の高さはさすが。
……しかし、まぁそれだけかな、という作品でもありました。
記号のような登場人物たちに淡々とした描写で、その時には楽しめますが、後に残るものは特にありません。
スキー好きの方なら考える部分もあったかもしれませんが、行ったこともなければ行きたいとも思わない私のような人間には迫ってくるものもなく、登場人物にウインタースポーツ好きの著者の意見をあちこちで言わせている感じがして不愉快でした。
スキークロスやスノーボードクロスといった競技を出してくるところもあざとい。
そして謎解き部分の分量には、やや不満が。
そもそもゲレンデに埋められた爆発物を軸に犯人側との綱引きをする気もない一方的な展開や、真っ先に思いつくであろう犯人に相応しい人物を探ろうともしない登場人物たちの行動が(サスペンス・ミステリ的に)腑に落ちず、全体的にやっつけ仕事っぽい作品でした。
残念。

ただ、スキー未体験の身だからこそ面白く感じるスキー場の描写もあって、著者の思う壺かもしれませんが、興味深かったです。
それにうまくないなぁと思いつつも、かなり集中して読めてしまうのが、やっぱり「うまい」のでしょう。
サスペンスを機軸に、親子の絆や恋愛やスポーツへ打ち込む若者なんかが適当に散りばめられていて、映像化するとわかりやすくて良いかもしれません。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:は行]東野圭吾 | 23:32 | comments(0) | - |
赤い指/東野圭吾
評価:
東野 圭吾
講談社
¥ 580
(2009-08-12)

少女の遺体が住宅街で発見された。
捜査上に浮かんだ平凡な家族。
一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。
「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。
刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の真意は?
家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。


帰宅した前原は息子が少女を殺したことを知る。
自首させようと言う前原に妻は反対。
息子を守るために二人で考え出した案とは……というストーリーです。

加賀刑事のシリーズです。
彼の父親との関係というシリーズ作らしさはありますが、それを背景にして家族の在り方をテーマにしたミステリです。
私には犯罪を隠蔽したくなる気持ちもわかりませんし、息子が小児性愛者で女の子を殺したなんて、庇うどころかむしろこの手で殺してやりたいですが、息子を盲目的に愛する母親と家族の問題から目を逸らし続けていた父親という設定なだけに、ありがちですが、それだけにありうるのかもと思わせてくれます。
それだけではない謎があるところも面白いですね。

ですが、全体的に派手さはありません。
加賀刑事のシリーズはいつもこうだったような気もしますが、そういう意味でも平均的。
直木賞受賞後第一作にしては安定感だけな印象です。
まぁ私が家族の問題に冷淡なせいかもしれませんが……。


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| [国内作家:は行]東野圭吾 | 20:40 | comments(0) | - |
さまよう刃/東野圭吾
評価:
東野 圭吾
角川グループパブリッシング
¥ 740
(2008-05-24)

長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。
花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躪された末の遺棄だった。
謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。
犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。
正義とは何か。
誰が犯人を裁くのか。
世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える――。
重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。


一人娘を強姦され「殺された」長峰は、犯人を名指しする匿名の電話がきっかけとなり、少年の一人を殺害する。
もう一人の実行犯を探し、逃走する長峰。
被害者の父を、今度は加害者として追いかけなければならない刑事たちの心の葛藤と、父親の経営するペンションの宿泊客が変装した長峰だと気付いた女性の選択は……というストーリーです。

ヘビーな内容紹介に後回しにしていた作品でした。
ですが、設定よりも案外軽い作りで、拍子抜けした気がします。
テーマが重い上に、自分の娘が強姦され(しかもその様子を撮影したビデオまで見せられ)正気でいられる親がいるのか、自分だったらどうするだろうか、と考えさせてくれる点では確かに社会派の内容であると言えるのですが、何となく展開が(言葉は悪いですが)安っぽい。
ラストも含め、ありがちなんです。
もう少し捻れなかったのか、実力があると思う著者だけに、やや残念でした。
しかし、見方を変えれば、胃が重くなるような内容を軽やかなエンタテイメント作に仕上げ、読みやすくしているとも言えます。

個人的には、長峰の行為を否定しきれません。
私だったら同じように復讐したいと思うでしょうし、決して犯人を赦すとは言えないでしょう。
と同時に、実際に少年に理不尽にも息子を殺された方が事件直後に「更生して欲しい」というコメントを出していたのを読んだ時には、本心はどうであれ、こうありたいとも思いました。
難しいです。


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| [国内作家:は行]東野圭吾 | 11:28 | comments(0) | - |
夢はトリノをかけめぐる/東野圭吾
直木賞授賞パーティの翌日、受賞作家は成田にいた。
隣には何故か、人間に化けた作家の愛猫・夢吉が……。
彼らが向かったのはイタリア・トリノ。
まさに冬季オリンピックが開かれているその地だ。
指さし会話で国際交流をしながら、驚きと感動に満ちた観戦旅行が始まった!
冬季スポーツとオリンピックをこよなく愛する著者が描く、全く新しいオリンピック観戦記。


人間に化けた愛猫・夢吉と共に、作家・東野圭吾がウインタースポーツについて、またトリノオリンピック観戦記を描いた半エッセイ半小説です。

時期を外していること(ウインタースポーツと考えれば時期は良いのですが、日本人の関心の低さを考えるとオリンピックシーズンに出版すべき)や、人間に化けた猫が視点という微妙にフィクションに逃げているあたりが、私には受け入れがたかったです。
愛猫・夢吉にウインタースポーツを体験させてみるという前半部よりも、単純にオリンピック観戦記となっている後半の方がまだ読みやすいですが、どうしてこんな物語仕立てにする必要があったのか……。
いや、そもそもネットでちらほら見かける素人(でも熱狂的ファン)のスポーツ観戦記の方が面白いような。
東野さんなら、もう少し違う視点があっても良いのではないかとつい考えてしまうせいかもしれません。
また、私がウインタースポーツに興味がないせいも関係しているかも。

ということで、東野圭吾ファンでもなければ、ウインタースポーツに関心もない、トリノオリンピックっていつあったっけ?な方には猛烈にオススメしません。
逆に「そう」な方なら手に取ってみても構わないかもしれません。


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| [国内作家:は行]東野圭吾 | 18:02 | comments(0) | - |
容疑者Xの献身/東野圭吾
天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に密かな想いを寄せていた。
彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。
だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。
ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。


ガリレオシリーズ第3弾。

前夫につきまとわれていた靖子は、金をせびりにやってきた彼を娘と二人がかりで殺してしまう。
自首をしよか、いや娘を巻き込みたくないと揺れていた靖子のもとへ、隣人であり、彼女のことを好ましく思っているらしい石神が現れ、どうにかしてやろうと言う。
二人はそれに同意してしまった……というストーリーです。

「犯人」は最初からわかっていて、それを探偵のガリレオこと湯川とその親友で刑事の草薙が追い詰めていくストーリーです。
ですが、それだけで終わらないトリックをうまく使ってくるところが、さすがの一言。
見せ方がうまいのですよね。
(私はミステリにおけるトリックではコレが一番重要だと思っております。何でもないことを魅せる)
明かされてみれば派手派手しいものではないですし、私はあまり好きなタイプのものではないのですが、読者に想像の余地を残させつつ不自然でない程度の展開と文章には感心しました。
オチも引っ張らず、鮮やか。
いままでのガリレオシリーズとは雰囲気がガラッと違っていて、シリーズを通してだと一番とは言えないのですが(これは好みの問題です)安心して読んで、満足できるレベルです。
いつもこういう作家さんや作品ばかりに当たると嬉しいのですけどね……。

そして念願の直木賞受賞作だったわけですが……これに関しては微妙。
コレで良いのならアレでも良いのではないか、いやアチラの方が相応しい、と東野作品を読んでいる方なら色々考え付きそうです。
まあ、最近の直木賞の傾向と言われればそれだけでしょうが。
受賞を機に本屋さんで大々的なフェアをやっているのを見ただけで、嬉しく思う気持ちの方が大きかったと言えばそうとしか言いようがありませんしね。


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| [国内作家:は行]東野圭吾 | 10:42 | comments(0) | - |
黒笑小説/東野圭吾
作家の寒川は、文学賞の選考結果を編集者と待っていた。
「賞をもらうために小説を書いているわけじゃない」と格好をつけながらも、内心は賞が欲しくて欲しくてたまらない。
一方、編集者は「受賞を信じている」と熱弁しながら、心の中で無理だなとつぶやく。
そして遂に電話が鳴って――。
文学賞をめぐる人間模様を皮肉たっぷりに描いた「もうひとつの助走」をはじめ、黒い笑いに満ちた傑作が満載の短編集。


短編集で
「もうひとつの助走」「線香花火」「過去の人」「選考会」「巨乳妄想症候群」「インポグラ」「みえすぎ」「モテモテ・スプレー」「シンデレラ百夜行」「ストーカー入門」「臨界家族」「笑わない男」「奇跡の一枚」
の計13編を収録。

「怪笑小説」「毒笑小説」に続く、ブラックユーモア集第3弾です。
今回も笑ったと同時に、やはり著者はうまいなぁと感心しました。
ここのところ、新作(といっても文庫化ですが)の内容の重厚さに手が出ていなかったので、久々に読んだせいか余計に。
軽い、馬鹿な話のようで、あちこちうまいです。
最初の「もうひとつの助走」に続く「線香花火」「過去の人」「選考会」の計4作は、文壇を舞台にしたもの。
著者が書くだけに、大なり小なりありそうなことで、ちょっと痛い感じもしました。
(それが狙いでしょうが)
以降はストレートです。
インポテンツになる薬のお話は、男というものの悲哀がユーモアたっぷりに描かれていて好きです。
「笑わない男」は、落語オチ。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:は行]東野圭吾 | 15:06 | comments(0) | - |
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