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落下する緑 永見緋太郎の事件簿/田中啓文
唐島英治クインテットのメンバー、永見緋太郎は天才肌のテナーサックス奏者。
音楽以外の物事にはあまり興味を持たない永見だが、ひとたび事件や謎に遭遇すると、楽器を奏でるように軽やかに解決してみせる。
逆さまに展示された絵画の謎、師から弟子へ連綿と受け継がれたクラリネットの秘密など、永見が披露する名推理の数々。
鮎川哲也も絶賛した表題作にはじまる、日常の謎連作集。


永見緋太郎の事件簿シリーズ第1弾。

連作短編集で
「落下する緑」「揺れる黄色」「反逆する黒」「遊泳する青」「挑発する赤」「虚言するピンク」「砕けちる褐色」
の計7編に加え
「田中啓文の「大きなお世話」的参考レコード」
が合間合間に7編収録されています。

表題作の「落下する緑」は絵の世界を、また「遊泳する青」は小説をテーマにミステリになっておりますが、他はすべて語り手がジャズトランペット奏者・探偵がテナーサックスス奏者とくれば、自然音楽に関することです。
つきつめれば芸術に関するミステリと言えなくもありません。
しかし、わからなくても全然問題ありません。
もしジャズがお好きな方ならもっと楽しめるのでしょうが、あくまでも「もっと」であって、まったく知らない人間でも純粋に謎解きとして読めます。
(もしもっと知りたいというのであれば、著者による案内もあることですし)
探偵役は変人の青年で、彼の能力を認めながら心配する常識人を語り手にもってきているあたりはよくある組み合わせですし、「こういうことってあるかもね」と読者に思わせる力が強い一方で謎解きがわりとわかりやすい欠点はありますが、ようは見せ方が“ミステリ”であれば、何でもミステリです。
正統派の、日常の謎系連作短編集でしょう。

著者の印象は「蹴りたい田中」一色だったので、真面目かつ良い意味で普通のミステリだったことがちょっと新鮮。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:た行]田中啓文 | 22:57 | comments(0) | - |
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