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七度狐/大倉崇裕
評価:
大倉 崇裕
東京創元社
¥ 903
(2009-07-05)

静岡に行ってくれないかな――北海道出張中の牧編集長から電話を受け、緑は単身杵槌村へ取材に赴く。
ここで名跡の後継者を決める口演会が開かれるのである。
ところが到着早々村は豪雨で孤立無援になり、関係者一同の緊張はいやが上にも高まる。
やがて後継者候補が一人ずつ見立て殺人の犠牲に……。
あらゆる事象が真相に奉仕する全き本格のテイスト、著者初長編の傑作ミステリ。


シリーズ第2弾。

編集長の牧と新人編集者・緑のたった二名で切り盛りする「季刊落語」編集部。
忙しい最中に牧に頼まれ、緑は春華亭古秋一門会の取材のため、静岡の杵槌村を訪れる。
素人に毛が生えた程度の緑は知らなかったが、なんとこの一門会は次代の「古秋」を現七代目が指名するために行われるという。
寝不足の中、運悪く暴風雨もやってきて、緊張感の漂う場違いな会に出席しなければならなくなった緑は牧を恨むが、後継候補の当代古秋の息子が殺され……というストーリーです。

シリーズ作品なのですが、私はこの第1弾「三人目の幽霊」の感想を書いていないようですね。
先月本棚の整理をした際には見かけたはずなのですが……また場所が判明しましたら、再度読んで書きたいです。

田舎村を舞台にしたクローズドサークルに見立て連続殺人、血族の確執と聞くだけで小躍りしたくなるのが私を含め、本格好き。
この古典的な展開に挑戦しているだけでも好感度大なわけですが、一気に読んで素直に面白かった!と言えました。
もしかしたら後から気になるところは出てくるかもしれませんが、とにかく良かった。
もともと落語が好きなことを差し引いても、落語とミステリの組み合わせが綺麗にはまっていて、読み応えがありました。
ラストも好み。
実は派手な事件なだけに、どことなく早歩きのような展開に違和感はありましたが、分量的に仕方がないかな?と思います。

著者のキャラクタにはイマイチはまれない部分もあるのですが、シリーズ作品で、前作の短編集が頭に残っているせいか、すんなり物語りに入り込むことができました。
ということで、これのみではなく、第1弾の「三人目の幽霊」から順番通りに読むことをおすすめします。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]大倉崇裕 | 23:27 | comments(0) | - |
福家警部補の挨拶/大倉崇裕
本への愛を貫く私設図書館長、退職後大学講師に転じた科警研の名主任、長年のライバルを葬った女優、良い酒を造り続けるために水火を踏む酒造会社社長――冒頭で犯人側の視点から犯行の首尾を語り、その後捜査担当の福家警部補がいかにして事件の真相を手繰り寄せていくかを描く倒叙形式の本格ミステリ。
刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、四編収録のシリーズ第一集。


福家警部補シリーズ第1弾。

短編集で
「最後の一冊」「オッカムの剃刀」「愛情のシナリオ」「月の雫」
の計4編を収録。

「推理も展開もレベルが高いけれど、物語の“中”には入っていけない」という印象です。
たぶんキャラクタが薄いせいでしょう。
最初に犯行場面が描かれるので、犯人への感情移入とか、それに相反するシリーズ作品としての探偵役(ここでは福家警部補ですね)への愛着とかがあれば「面白い」と感じられるのでしょうが、そこに上手さが感じられません。
コロンボを目指すのは好きな方にはたまらないと思うので、第2弾も楽しみではありますが。
そんな中、「愛情のシナリオ」はまずまず好きです。
ああいう「ああ、なるほどね」というオチがあると良いかと。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]大倉崇裕 | 10:31 | comments(0) | - |
無法地帯―幻の?を捜せ!/大倉崇裕
空前の「食玩」ブームにより、400万円のプレミアがついたレアグッズをめぐる争奪戦が勃発。
怪獣大好きのヤクザ、食玩コレクターの私立探偵、モラルゼロのオタク青年──。
幻の?を奪い合う、仁義なき戦い。
勝者は誰だ!
オタク道38年の著者がおくる、情熱のオタクミステリー!


一匹狼のヤクザの大葉は、かつての組長の借金返済を迫ってくる同業者から400万円の価格がつくプラモデル『ザリガニラー』を三日以内に探し出せば借金えお忘れてやると言われる。
大物ヤクザ組長・韮山の息子である敏郎がコレクターで、息子に甘い彼への手土産としようというのだ。
その頃食玩コレクターの私立探偵・宇田川はマンション販売員の中里から、マンション購入に興味を持っている顧客への餌として『ザリガニラー』を是非探し出して欲しいと依頼される。
そしてプラモデルコレクターの敏郎とオタク仲間の多々見は、とうとう『ザリガニラー』を手に入れられるかもしれないと聞かされ、対抗心からそれを探すことに……。
三者の思惑とコレクター精神が交錯する……というストーリーです。

私にはちょっと近寄りがたい世界でしたが(所有欲があまりないのでコレクターにはなれそうにありません)オタクオタクした情報をあちこちに散りばめておきながら、本筋ではしっかりサスペンスなのが楽しかったです。
バラバラだった主要人物がつながっていくところは爽快感があります。
当初から、ヤクザも私立探偵もオタク男も、この『ザリガニラー』騒動に巻き込まれる要因となった背景に韮山というヤクザの息子がいることはわかるわけで、どう接触するのかハラハラします。
しかし、それだけでは終わらないのがさすがという感じ。

そして、登場人物たちがそれぞれめちゃくちゃなのが笑えました。
怪獣好きの暴力的なヤクザに加え、食玩のコレクションのためには強盗も辞さない探偵に、実際の撮影所に侵入してコスチュームや着ぐるみを盗んでコレクションする(そしてそれで食べている)男と、犯罪行為のオンパレードです。
彼らは正義のために行動したりはしません。
基本、コレクターとしての情熱(?)に突き動かされての行為なのです。
そこまでするか?というような、そしてそこまでしちゃうのだろうな……というような世界でした。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]大倉崇裕 | 16:41 | comments(0) | - |
白戸修の事件簿/大倉崇裕
どこにでもいる善良な大学生・白戸修にとって東京の中野は鬼門である。
殺人の容疑者が飛び込んで来たり、ピンチヒッターで行ったバイトが違法だったり、銀行で強盗に銃を突きつけられたり……。
だが次々に事件を解決する彼を人は「巻き込まれ探偵」「お人好し探偵」と呼ぶようになる。
小説推理新人賞受賞作を含む、ちょっと心が優しくなれる癒し系ミステリー。


短編集で
「ツール&ストール」「サインペインター」「セイフティゾーン」「トラブルシューター」「ショップリフター」
の計5編を収録。

小説推理新人賞受賞作である「ツール&ストール」を表題作として2002年に出版されたものの改題文庫化作品だそうです。

ピリッとした作品ばかりでした。
素人探偵(本人は探偵というよりただ巻き込まれているだけが多いですが)が主人公となれば、自然日常の謎系のミステリとなります。
警察関係者でも探偵を生業にしているわけでもない人間が、短編ミステリ作品でそうそう特殊な殺人に巻き込まれていては、ちょっとおかしいですから。
ところがこのシリーズは、解説でも書かれていますが、スリやステ看貼り、ストーカーに万引きといった“軽犯罪”が描かれていて、程好く非日常ではなく程好く緊張感があります。
「軽」いといっても犯罪は犯罪。
万引きなんて、名前が「万引き」だから何かそういう別の犯罪のようですが、実際はただの窃盗犯ですからね。
3作目の「セイフティゾーン」のみ銀行強盗に遭遇してしまうという大事件ですが、これはストーリーの肝が別のところにあるので、雰囲気を乱していません。
どの作品も綺麗にまとまっていて、ぐいぐい引っ張り込まれるような魅力にはやや欠けるものの、楽しく読み終わりました。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]大倉崇裕 | 20:11 | comments(0) | - |
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