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ぐるりのこと/梨木香歩
旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、「生き延びる」ということを考える。
沼地や湿地に心惹かれ、その周囲の命に重いが広がる。
英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら思うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。
旅先で、日常で、生きていく日々の中で胸に去就する強い感情。
「物語を語りたい」――創作へと向う思いを綴るエッセイ。


エッセイ集ですが
「向こう側とこちら側、そしてどちらでもない場所」「境界を行き来する」「隠れたい場所」「風の巡る場所」「大地へ」「目的に向かう」「群れの境界から」「物語を」
と章立てされております。

イライラしながら読みました。
もともとこの著者と意見が合わないことはわかっていたのですが、加えて文章が駄目。
まだるっこしい、後付け意見を述べるのに()を多様した文が読みにくくて仕方がありませんでした。
中身も、狙っている方向性はわかるのですが、ダラダラと述べられているだけのようで不愉快。
綺麗だなと思う表現はあるものの、全体的な印象が悪過ぎます。
同じエッセイなら「春になったら苺を摘みに」の方が良いです(→参考

意見の相違については、その「春になったら……」でも感じた違和感が、この作品で物凄く大きくなったかと。
そもそもタイトルが「ぐるりのこと」(=周囲のこと)ですからね。
個の感じる善悪と全としての行動理念は別モノだと常々言っている私には、辛いものがありました。
しかし……作中、著者が衝突したと書いていたトルコの青年ガイドに関する付近の言語に関する感想と、日本人観光客がヨーロッパで相手にはわからないからと日本語で汚い言葉を使用していたことは、本人は後者に深く傷ついたとありますが、根が同じような気がするんですけど、悪意に満ちているでしょうか?
| [国内作家:な行]梨木香歩 | 18:38 | comments(0) | - |
家守綺譚/梨木香歩
評価:
梨木 香歩
新潮社
¥ 380
(2006-09)
庭・池・電燈付二階屋。
汽車駅・銭湯近接。
四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。
―綿貫征四郎の随筆「烏〓苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。


食うにも困る文筆業で学生時代の下宿に居座っていた「私」は、友人であった今は亡き高堂の父から「家守」をしてくれないかと頼まれ、越してくる。
庭は伸びるがままにし、長らく元気のなかったサルスベリも見事な花を咲かせる。
ある風雨の酷い夜、床の間の掛け軸から亡くなったはずの高堂がやってきて、あのサルスベリは君に惚れてるんだぜ、と言うが…というストーリー。
その後、隣家のおかみさんや和尚、狸や犬や果ては竹の花とまでかかわりながら続くお話はとても綺麗です。
嫌いではありません。
ですがどこかで読んだような設定、それも漫画かと思わせられるのは、上っ面だけが「綺麗」だからでしょう。
日本の風土での怪異や物の怪はこのようにさらっとしたものであって良いはずがありません。
もっと「怖いもの」です。
それに個人的な感情ですが、日本の庭は手入れを必ず必要とする存在です。
伸びるがままで美しいと感じる精神が、そもそも「日本的」から離れていると思います。
この著者の考えは、このような形式の物語にはそぐわないかと。
物語のいわば「オチ」となっているエピソードは前半に持ってきて、その後何かの展開があれば良かったのにと思います。
| [国内作家:な行]梨木香歩 | 17:48 | comments(0) | - |
エンジェル・エンジェル・エンジェル/梨木香歩
コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。
夜、水槽のある部屋で、おばあちゃんは不思議な反応を見せ、少女のような表情でコウコと話をするようになる。
ある日、熱帯魚の水槽を見守る二人が目にしたものは―なぜ、こんなむごいことに。
コウコの嘆きが、おばあちゃんの胸奥に眠る少女時代の切ない記憶を呼び起こす…。


コウコは熱帯魚を飼いたい一心で、母の負担になっている夜中のおばあちゃんのトイレ役をかってでます。
彼女はその時間にもともと起きているので、簡単な交換条件のつもりでした。
ところが、水槽を置くために引っ張り出した机と水槽のモーター音でおばあちゃんの何を目覚めさせたのか、夜中に二人はお喋りをすることに…という現代の話と、旧仮名遣いで書かれたおばあちゃんの若い頃の話が交錯しながら、すすみます。
ネオンテトラを追加で入れてしまったがために、エンジェルフィッシュがおぞましい攻撃に出る様と、おばあちゃんの昔の話とコウコの不安定な思春期の精神が絡み合って、中編ながら印象に残る作品でした。
| [国内作家:な行]梨木香歩 | 17:36 | comments(0) | - |
春になったら苺を摘みに/梨木香歩
春になったら苺を摘みに
春になったら苺を摘みに
梨木 香歩

「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。
「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。
ウェスト夫人の強靭な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける―物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。


もしかしてと手を出す度に肩を落としてきたというのに、そんな作家のエッセイに挑戦しようだなんて私ってマゾかな、と思いつつ読んでみたら予想外に良かったです。
これはいい。
まるで小説のような雰囲気のエッセイなので、その構成自体に好き嫌いはあるかと思いますが、私にはビンゴ。
瑞々しい描写が素敵です。
それに今まで読んできた著者の小説は、文庫にこれでもかというぐらい字が大きくて本自体も薄くて、文体も「馬鹿にしてますか?」と言いたくなるものだったので、やっとホッとしたと申しますでしょうか。
収録は
「ジョーのこと」「王様になったアダ」「ポヴァリー夫人は誰?」「子供部屋」「それぞれの戦争」「夜行列車」「クリスマス」「トロントのリス」「最近のウェスト夫人の手紙から−二〇〇一年末−」
それに文庫書下ろしの「五年後に」を加えた構成。

ただ、その感性にはまったく賛同はできません。
これまた好みの問題なのですが…ずうずうしくも作中の文章を借りますと
この歳になってようやく、自分がどういうものに興味を持ち、どういうものに全く無頓着なのかわかってきた。
私は例えばコソボ紛争の政治的な成り行きにはあまり関心がない。
しかしその結果アレキサンダーたち姉弟
(注)が幼い頃に親を目の前で失い、その生い立ちのために特異な価値観を形成するに至った過程には、理解したいという欲求が強く起こってくる。 (p.125冒頭)
(注)この後に語られるコソボ難民の姉弟のこと。ウェスト夫人の下宿に1年滞在。

とあれば、私は前者、戦争の政治的要因や宗教問題には興味はあっても、個人レベルのことには関心がなく疎いです。
この文章に当たった時、これほど違和感を感じるのは何故か、明確に説明された気がしました。
そもそも、作中に出てくる文学の名を借りれば、「ピーター・ラビット」も「くまのプーさん」も「不思議の国のアリス」も「秘密の花園」も「赤毛のアン」も、面白いと思ったことがありません。
起承転結の「転」から「結」に至る過程がどうしても納得できず、気持ちが悪いのです。
西洋人の考えることはわからないわ、と投げてしまった私のような人間とは合わないのでしょう。

ただ、それでも良かったと思えるエッセイでした。
特に「トロントのリス」が印象に残っています。
| [国内作家:な行]梨木香歩 | 17:08 | comments(0) | - |
りかさん/梨木香歩
りかさん
りかさん
梨木 香歩

リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。
こんなはずじゃ。
確かに。
だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。
りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時…。
成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。


注:これは「からくりからくさ」を先に読んでおくことをおすすめします。
何故なら私がやってしまって、???となったから…。
「養子冠の巻」と「アビゲイルの巻」からなる「りかさん」は良いです。
読めます。
しかし併録の「ミケルの庭」は「からくりからくさ」を読んでいた方が絶対に良いと思います。
…と書いておきながら、私は未読なんですが。

しかし普通の女の子は人形遊びをそんなにするのでしょうか。
私もジェニーちゃん人形は何体か持っていました(わがままが通る家だったので、1体の髪をおかっぱにしてしまった後にもう一体買ってもらったり…)
でもそんなに好きじゃなかったですね。
市松人形系は大嫌い。
だって怖いですもの。
このストーリーでは人形たちと“りかさん”を通してコミュニケーションをとることができるのですが、そこにはほのぼのした表現が多いです。
「アビゲイルの巻」なんか切ない。
が、私にとってはこの話は怪談に近いのです。
受け入れられない設定というものがあるのだということを知りました。
| [国内作家:な行]梨木香歩 | 16:54 | comments(0) | - |
西の魔女が死んだ/梨木香歩
西の魔女が死んだ
西の魔女が死んだ
梨木 香歩

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。
西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。
喜びも希望も、もちろん幸せも…。
その後のまいの物語「渡りの一日」併録。


設定と展開がうまいです。
予定調和的ですが、納得できるレベル。
ファンタジーとして、子供に薦められる本だと思います。
が、趣味かどうかは感情論。
「面白かった」という感想を理性で変質させることができるとしたら、私もやりたいです。
これが素直に受け入れられない自分が悲しい…。
| [国内作家:な行]梨木香歩 | 16:47 | comments(0) | - |
裏庭/梨木香歩
裏庭
裏庭
梨木 香歩

昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。
高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。
その庭に、苦すぎる想い出があり、塀の穴をくぐらなくなって久しい少女、照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、声を聞いた―教えよう、君に、と。
少女の孤独な魂は、こうして冒険の旅に出た。
少女自身に出会う旅に。


児童文学ファンタジー大賞受賞作品。
つまり、というか当然というか「児童文学」なわけです。
私のように絵本から一気に大人向けミステリや文学作品(川端とか三島とか←わからないまま読んでいた)に行ってしまった人間には、その雰囲気を懐かしんで読むこともできず。
また、性格が悪いですから、新たに感動することもできず…。
中途半端な感じでした。
(というか正直読むのが苦しかった…)
海外児童ファンタジーがお好きな方は、結構好きなのではないでしょうか。
| [国内作家:な行]梨木香歩 | 16:39 | comments(0) | - |
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