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時の娘/ジョセフィン・テイ、小泉喜美子訳
評価:
ジョセフィン・テイ
早川書房
¥ 630
(1977-06)
英国史上最も悪名高い王、リチャード三世――彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか?
退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。
安楽椅子探偵ならぬベッド探偵登場。
探偵小説史上に燦然と輝く歴史ミステリ不朽の名作。


犯人追跡中にマンホールに落ちて骨折したロンドン警視庁のグラント警部は、入院生活に退屈しきっていた。
しかし、女優のマータが持ってきてくれたリチャード三世の肖像画を見て、その顔が稀代の悪人とは思えなかったことから、アメリカ人歴史研究生キャラダインと共に、安楽椅子探偵ならぬベッド探偵として彼の真実の姿を探すことに……というストーリー。

ベッド・ディテクティブによる歴史ミステリの最初の作品と言われているものだそうです。
シェイクスピアの戯曲にもなり悪王として知られるリチャード三世のことを探るというテーマのもとで話が転がっていくのですが、理論重視、これぞミステリというような知的な展開です。
安楽椅子探偵もの(ここではベッドですが)の欠点には探偵の動きがジャンルの性質上極端に制限されるため、証拠が提示されることがなく、下手すると理論に納得できないというものがあります。
これは話のもっていき様が駄目なのでしょう。
作者のリードする結論に自然に落ち着けるかどうかは、読後感にも評価にも影響するので、それがごく自然なこの作品は「名著」と呼ばれるのもわかる内容でした。
また、グラント警部以下のキャラクタが結構良いのです。
顔で犯罪者を見分けられるという警部が、間抜けなことにマンホールに落ちて怪我をしイライラして看護婦たちに妙なあだ名をつけているのもおかしいですし、その看護婦たちもそれぞれ個性的。
恋人?なのかよくわからないマータも活き活きとしている様子が目に浮かびますし、相棒となるアメリカ人研究生も、そのバックグラウンドでいかにもそういう性格になりそう!という言動ですし、飽きませんでした。
たぶん訳が良いのでしょうね。

問題は、私がイギリスの歴史にまったく詳しくないことです。
リチャード三世の悲しい歴史改竄疑惑も「へー」という程度で、あんまり興味が持てない……。
薔薇戦争の経緯もよくわからないですし、近い親族で同じ名前をつけるのはやめて欲しいです。
それでなくても翻訳作品の多くで登場人物の名前が憶えられず、人物紹介と行ったり来たりして余計な疲労を感じる私には、きつかったです。
もちろん、そんな私でも面白く読めたのですが、このあたりの詳しい知識があればより楽しめるのかもしれません。
| [海外作家:P〜T]ジョセフィン・テイ | 16:17 | comments(2) | - |
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