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99%の誘拐/岡嶋二人
評価:
岡嶋 二人
講談社
¥ 730
(2004-06)
末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。
そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。
そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。
その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。
第十回吉川英治文学新人賞受賞作。


イコマ電子社長の息子が誘拐される事件が起き、人質は戻ってきたものの身代金は犯人に奪われる。
その5千万円は、苦境に立つイコマ電子を救うために必要な資金だった。
そのため内部に詳しい者の犯行が疑われるも、結局は時効となる。
そして身代金を奪われたことでで経営が立ち行かなくなったイコマ電子を吸収し発展した会社・リカード社長の孫が誘拐され……というストーリーです。

圧倒的なスピード感でした。
古い作品なので仕方のない古臭さや、綱渡りなはずの誘拐事件の進行がご都合主義なところがあるといった引っかかる点を、すべて無視して楽しめるぐらいの展開のうまさがあります。
先が読めないことはない、という微妙なバランスで描かれていてぐいぐい引き込まれました。
この誘拐が実際に可能かどうか(それも88年当時に)というような粗探しを読者に考えさせる暇を与えてくれません。
完全にサスペンス・エンタテイメント作品なので、重みはまったくありませんが、最初から最後まで楽しく読むことが出来ました。

つくづく岡嶋二人作品は映像化に向いていると思うのですが、今まで映画化とかの話はなかったんでしょうか?


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| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 23:58 | comments(0) | - |
七年目の脅迫状/岡嶋二人
中央競馬会に脅迫状が届いた。
「10月2日、中山第10レースの1番の馬を勝たせよ。この要求を受け入れなかった場合には……」
最初に2億円のサラブレッドが、治療法のない伝貧(馬伝染性貧血)の犠牲になった。
密命を帯びた中央競馬会保安課員・八坂心太郎が北海道へ飛ぶ。
本格推理の新星・岡嶋二人の長編会心作。


日本中央競馬会の保安課に勤める八坂は、亡き妻の父であり競馬会の江田川に呼び出される。
そこで打ち明けられたのは、競馬会に脅迫状が届いているということだった。
メインレースで指定する馬を勝たせないと馬伝染性貧血という不治のウイルスを流行させるという、その内容を無視した結果、実際に北海道で繁殖牝馬に伝貧が発生したという。
この犯人を見つけて欲しいという途方もない義父の頼みに悩む八坂だったが北海道へ飛び……というストーリーです。

当初立て続けに競馬ミステリを書いていたらしい著者ですが、これも相当面白かったです。
JRA職員の素人探偵なんて始めて読みました。
また、デビュー作にして江戸川乱歩賞受賞作の「焦茶色のパステル」(参考)と同じように競馬の知識がなくても、不自然でないレベルで登場人物に解説させているので問題なし。
それでいて普通の人は知らないような競馬業界のシステムをうまく利用して謎をつくるのはさすがです。
死者も出て、馬にも屠殺処分になるような病が発生する設定のこんがらがった事件が最後の最後に見事にすっきりして、読んでいる方もすっきりしました。


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| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 14:27 | comments(0) | - |
七日間の身代金/岡嶋二人
プロデビューを目指す若き音楽家カップルの千秋と要之介。
ある日、富豪の後添いとなった友人から、弟と先妻の息子が一緒に誘拐されたと相談を受ける。
身代金の受け渡し場所は、どこにも逃げ場のない湘南の小島。
にわか探偵と化した二人は犯人を追うが……。
誘拐と密室の二重の謎に挑む、傑作青春ミステリー。


売れない歌手の千秋は、ピアニストの要之助と共にかつてアルバイトを紹介してもらったことのある鳥羽須磨子に義理の息子と弟が誘拐されたと相談を受ける。
警察には通報しないまま身代金の受け渡しに向かった須磨子を二人は追いかけるが、彼女はかけつけた警察が包囲する一箇所しか渡る場所のない小島で猟銃で頭を打ち抜かれ死亡してしまう。
そして犯人と、二千万円の身代金と、凶器の猟銃は消えてしまった……。
人質となっていた二人の行方もわからないままで、釈然としない二人は事件を追いかけるが……というストーリーです。

テンポの良いミステリでした。
様々な人物を登場させ事態を混乱させておいて最後にすっきり幕を引く構成力はさすが。
トリックはきっちりあるのにサスペンス寄りかなと思うのは、主人公の初々しいカップルの描写があちこちであるからでしょう。
青春ミステリーと言われれば確かにそうです。
多少古臭いのも、2時間ドラマに登場するいつまでもくっつかない主役たちを見るようで微笑ましかったです。
しかしその分、軽すぎて拍子抜けしてしまいました。
軽さを目指して書かれたのだろうとは予想できますが、トリックが好きなだけに味付けが残念。


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| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 12:04 | comments(0) | - |
開けっぱなしの密室/岡嶋二人
ユーモアと恐怖が交錯するミステリー傑作集。
親友の夏美が引越したばかりのアパートで殺されてしまった。
前夜泊まり込んでいた悦子は、警察の鈍い捜査にいらだち、自分で犯人捜しに乗り出した。
なぜ犯人は密室の鍵を開けていったのか。
表題作など、軽やかな都会派ミステリーの魅力があふれる6編を収録。


短編集で
「罠の中の七面鳥」「サイドシートに赤いリボン」「危険がレモンパイ」「がんじがらめ」「火をつけて、気をつけて」「開けっぱなしの密室」
の計6編を収録。

古いなぁという印象は否めないのですが、短編でも構成力とキレ味は確かでした。
私は犯人視点の作品はあまり好きではないのですが(トリック云々より視点の人物に感情移入したいので)それも最後にオチがあるので楽しみました。
好きだったのは、読んでいて色々考え過ぎて頭がこんがらがった「サイドシートに赤いリボン」、保険金目当てに自殺した姉が他殺に見えるように偽装する弟の話「がんじがらめ」、それに表題作の「開けっぱなしの密室」でしょうか。
特に表題作は長編にも出来そうな展開で好きです。


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| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 10:20 | comments(0) | - |
チョコレートゲーム/岡嶋二人
学校という名の荒野をゆく、怖るべき中学生群像。
名門秋川学園大付属中学3年A組の生徒が次々に惨殺された。
連続殺人の原因として、百万単位の金がからんだチョコレートゲームが浮かび上がる。
息子を失った一人の父親の孤独な闘いをたどる、愛と死のショッキング・サスペンス。
日本推理作家協会賞受賞作。


作家の近内は、妻から息子の省吾が学校を無断で休んでいること、そして身体中に痣があることを聞かされる。
そういう時期もあるだろうと放置していた近内だが、省吾が帰ってこなかった夜にクラスメイトの一人が殺されたことを知る。
「俺を犯人だと思っているんだろう!」という息子の言葉に言い返せないまま、事態は急変し……というストーリーです。

読み終わった後で、日本推理作家協会賞受賞作だったと知り驚きました。
著者を読み始めたのはつい最近なのですが、その中でも一番平凡な内容だったからです。
普通には面白いし、スピード感はあるし、トリックだってしっかりあるのですが、薄っぺらいとまでは言わないものの妙に軽い印象。
この読みやすさがうけたのでしょうか。
子供たちがやっていたという「チョコレートゲーム」とは何なのか、もうちょっと考えさせてくれていたら良かったかもしれません。
物凄く安易にわかってしまって、その後の展開は完全に予想の範囲内です。
しっかり作ってくれるのならら、2時間ドラマでちょうど良いような……。
岡嶋二人じゃなかったら素直に面白かったと言えちゃうだろうに、期待していただけにやや拍子抜けでした。


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| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 11:19 | comments(0) | - |
クラインの壷/岡嶋二人
ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。
アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。
ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は……。
現実が歪み虚構が交錯する恐怖。


枚数の問題で落選したシナリオをゲーム化させて欲しいという話に飛びついた上杉は、1年半もの間完成を待ち続けた後、試作品のモニターをすることになる。
そこでバイトとして雇われた高石梨紗と共にゲーム世界に入り込むようなリアルな経験に興奮するのだが、途中「戻れ」と男の声がしてゲームが続行できなくなるトラブルが頻発。
そして梨紗の友人を名乗る女から、彼女が帰宅していないと知らされるのだが……というストーリーです。

岡嶋二人は井上夢人と田奈順一の合作ペンネームですが、どうもこれが最後の作品となったようです。
そのせいか、がちがちのミステリというよりはホラーサスペンス。
謎を追いかける展開にはもちろんなるのですが、読者には簡単にわかってしまう書き方がされています。

たぶん出版当時に読んでいたら、面白く思えたでしょう。
バーチャル・リアリティゲームの細かい設定も物珍しかったでしょうし、オチにも驚愕したかもしれません。
今でも充分に読ませてくれる内容です。

しかし今となっては同テーマの後発作品に触れすぎていて、正直あらすじを読んだだけで「え?もしかしてこういう話?」と思ったそのまま。
もちろん小説として上手いのですが、こういうネタは新鮮度が命。
私のように擦れてしまっていると(しかもストーリーの展開ではなく謎の方に目が行きがちなタイプですと)ちょっと正当な評価はしかねます。
細かいことは憶えていないのですが「クリス・クロス―混沌の魔王」(高畑京一郎)にそっくりだったので、後発作品を先に読んでしまっている自分の身を呪います。


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| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 12:13 | comments(0) | - |
そして扉が閉ざされた/岡嶋二人
富豪の若き1人娘が不審な事故で死亡して3カ月、彼女の遊び仲間だった男女4人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた!
なぜ?
そもそもあの事故の真相は何だったのか?
4人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?
極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。


墓参りに来て欲しいと言われ、3ヶ月前に死亡した咲子の母に呼び出された雄一。
出されたジュースを飲み意識をなくし、目が覚めた時には咲子の事故死の際に一緒にいた鮎美、正志、千鶴の面々と共にどこかに閉じ込められていた。
壁には「お前たちが殺した」という赤文字と崖から落ちた咲子の車などの写真が。
咲子の母の目的は?
そしてあの事故は本当に事故だったのか……というストーリー。

完全に舞台が固定されたまま進む、本格ミステリでした。
それなのに飽きることなく読み終えられます。
展開も、明かさていく真実も、非常によくまとまっている作品です。
うまいの一言。
地下核シェルターと思われる空間に閉じ込められ、食料は10日間分しか用意されていない。
そのタイムリミットまでにどうにかして脱出し泣ければならないという緊迫感と、3ヶ月前に起きた咲子の死にまつわるお互いが抱える不信感。
証拠品があるわけでもなく他の人物の証言があるわけでもなく、純粋に4人の言い分だけで進められていく推理はかなり読み応えがありました。
ただこう、完璧にまとまってしまっているが故に興奮できないという妙な感覚も。
凄いとは思うものの面白いとは思えない、不思議な読後感です。
それは完全に私の好み(あるいは読んだ時の精神状態)のせいでしょうし、自信を持って人に薦められる作品だと思います。


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| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 15:34 | comments(0) | - |
焦茶色のパステル/岡嶋二人
東北の牧場で、牧場長と競馬評論家・大友隆一が殺され、サラブレッドの母子、モンパレットとパステルも撃たれた。
競馬の知識のない隆一の妻・香苗を怪事件が次々に襲う。
一連の事件の裏には、競馬界を揺るがす恐るべき秘密が隠されていた。
注目の共作作家の傑作競馬ミステリー。
第28回江戸川乱歩賞受賞作品。


競馬評論家を夫に持つ香苗は、競馬には一切興味がなく夫との仲は冷え切っていた。
しかし、東北の牧場でサラブレッドの母子・モンパレットとパステル、牧場長と共に彼が射殺される。
一体何が目的だったのか。
夫の残したメモと不審な競走馬売買の関連を親友と共に探るが……というストーリー。

再読です。
よく練られた内容のミステリです。
競馬がテーマの小説とあって興味のない方には敬遠されそうですが、主人公の香苗が競馬オタクに囲まれながらも素人同然の知識しかないという設定なので、彼女の疑問に答えるかたちでうまく説明されているのでご安心を。
またそういった解説が小説の中にうまく入り込んでいて、徐々に判明する事実と並行して、かなり面白いです。
展開はベタかもしれませんが、またそれが良い。
いかにも作られたようなキャラクタに魅力が欠けるかもしれませんが、作風には合っているかな?とも思います。
岡嶋二人といえば共作作家として有名ですが、その利点がうまくあらわれている作品かと。
これがデビュー作とは(江戸川乱歩賞受賞作ですが)驚きです。
| [国内作家:あ行]岡嶋二人 | 18:38 | comments(0) | - |
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