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リトル・バイ・リトル/島本理生
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。
家族は、母、小学校二年生の異父妹の女三人。
習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。
「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第二十五回野間文芸新人賞受賞作。


母が二度目の離婚をしたおかげで、ふみは考えていた大学進学の資金がなく、アルバイトをして過ごしていた。
その母も職を失い、新たに得た職場で出会った周という少年をふみに紹介する。
キックボクシングをしているのだという周と少しずつ間合いを狭めていくふみだったが……というストーリー。

特に大きな事件が起こるということはありません。
極悪人も出てこなければ、根っからの善人も登場しません。
父がいない、お金がない、大学に行けない、幼い妹の世話をしなければならない……と主人公の状況をピックアップすれば悲劇にもなりうるのですが、物語はいたって淡々。
しかし「毎日代わり映えしない」というため息を漏らすのは簡単ですが、実は少しずつ変化していく日常のちょっとしたことを捉え、何でもないように描き、読者に読ませてくれるのは凄いです。
主人公の生活は、開き直っていると考えるよりは、自然なのだと思いました。
父がいないのも、生活に問題があるのも「そう」なのです。
だからといって卑屈にはならないし、好きなことはするし、男の子とも付き合う。
さらっと読ませてくれて、読後爽やかで、僅かですが心に残るシーンがある。
そんな気持ちの良い小説でした。
| [国内作家:さ行]島本理生 | 15:15 | comments(0) | - |
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