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雨の日のイルカたちは/片山恭一
評価:
片山 恭一
文藝春秋
¥ 530
(2007-04)
妻と赤ん坊をホテルに残し、浜辺を散策する男。
中州の風俗で働く十九歳の少女。
スーパーの店員から介護士に転身した青年。
突然死した最愛の夫に愛する女性がいたことを知った妻。
そして水族館から逃げたイルカは、どこを泳いでいるのか……。
深い喪失感を抱えながら生きていく人たちを、祈りにも似た言葉で描く四篇の物語。


短編集で
「アンジェラスの岸辺」「雨の日イルカたちは」「彼らは生き、われわれは死んでいる」「百万語の言葉よりも」
の計4編を収録。

短編集と書きましたが、著者が意図したのは連作短編集かもしれません。
登場人物がリレーされているからです。
ですが、つながりといえばそれだけで、特に何かアクションがあるわけではないので、気にしないでも良いはずです。

初出は2003年から2004年にかけてなのですが、表題作以外の作品に深く関わってくるのが9.11の同時多発テロです。
著者は何か思うところがあったのか、登場人物たちに長々とそれについての感想や思想の転換点を語らせるのですが、これがうざい。
そのまま著者の考えや声のようなのです。
頻出する現代用語も具体的な単語も作風としてはありだと思いますが、自分の理屈っぽい考えを作品に加えるのならもうちょっと昇華させて欲しい。
主人公に丸のまま語らせなくても、何か手段があるはずです。
読んでいて苛々しました。

さらに、その「著者の考え」が気持ち悪い!
これは私の趣味の問題ですから、素敵、と思う方もいるでしょうしそうでなくては作家業などやってられないでしょうが、夫を亡くした妻の姿を描いた「百万語の言葉よりも」なんて「天使が見える」という女性に主人公が救いを見出すあたりで投げ捨ててやろうかと……。
まあ、そういうのもありでしょうし、連れ合いを亡くすというのはそれぐらい追い詰められるものかもしれませんけどね。
妙な宗教みたいで気持ち悪いですよ。
これをありがたがって読む人がいると思うとそれもゾッとします。
| [国内作家:か行]片山恭一 | 10:25 | comments(0) | - |
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