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不確定世界の探偵物語/鏡明
ただ1人の富豪が所有する、この世に1台きりのタイムマシンが世界を変えてしまった。
過去に干渉することで突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ。
おれは私立探偵。
だが、常に歴史が変わる──現在が変わりつづけるこの世界で、探偵に何ができるというのだろう?
そのおれが、ある日、当の富豪に雇われた。
奴の正体は一体?
“伝説の巨人”鏡明を代表する空前絶後の時間SFを初文庫化。
あとがき=鏡明/解説=大森望


この世にひとつのタイムマシンを所有する富豪・ブライス。
目の前の人物が急に別人になったり、過去の犯罪がなかったことになったり、国がひとつ消えてしまったりする日常で探偵という職業を選択しているノーマンは、その富豪から仕事を依頼される。
何故自分なのか?
ブライスが寄越した秘書・ジェニファーと共に動くことになるが……というストーリー。

第1話、第2話……となっていますが“ワンダーマシン事件簿”のシリーズ名で発表されたということなので基本は連作短編集で
「昨日のない明日」「暗闇の女」「空白の殺人者」「凍った炎」「復讐の女神」「子供の冒険」「真夜中の死」「わが最良の時」
の計8編。

たった一人の富豪が所有するタイムマシンにより、過去の改変が日常になった世界が舞台です。
同じ名前でも違う人生を持った人物に突然変化(「異化」と作中言い、またそうなってしまった人物を「アザータイマー」としています)したり、電化製品の性能や形態が急に進化したりすることを皆が受け入れている、という世界設定がまず面白い。
それで主人公がその改変をやめさて歴史の流れを元に戻そうとする話ならば普通ですが、彼もまたそれを受け入れ、その上で探偵をしています。
その表現は主人公の一人称で酷くハードボイルド風。
過去も未来も確定していないという特殊条件があるだけで、事件の捜査・解決は真っ当です。
もちろんSFですし、ミステリサスペンスの要素もあるし、現実の曖昧さからくる社会の閉塞感も描かれ……とその印象の定まらなさが面白かったです。
| [国内作家:か行]鏡明 | 17:30 | comments(0) | - |
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