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スロウハイツの神様/辻村深月
人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ――あの事件から十年。
アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。


人気作家チヨダ・コーキの小説をもとにして、集団自殺がエスカレートした殺人事件が起きた。
徹底的に叩かれたチヨダ・コーキだったが、とあることで復帰する。
そして十年。
人気脚本家である赤羽環は、古い旅館を改装し、コーキと友人たちと共に暮らしていた。
それぞれが映画監督、イラストレーター、漫画家を目指す彼ら。
しかし穏やかな時間は終わりを告げる……というストーリーです。

色々考えましたが、やはりいつもの著者の作品だった気がします。
文庫化したものは一応全部読んでおりますが、著者のぶれなさは凄いですね。

主人公は誰とは言えない群像劇になっていて、伏線が最後の章で一気に明かされます。
この辺りにミステリの要素は見えますが、ストレートな青春小説です。
読みやすさも、一気に読ませる力もさすが。
ところが。
何というか最後に
「で?」
と言いたくなってしまうような。
オタクを浪費するだけでなく向かいあう気があるのなら、爽やかな月9ドラマあたりに出来そう(恋愛成分大目の脚本にでもして)な当たり障りのなさというか……。
うまく言葉に出来ないのですが、これだけ長い作品を読んで、読後感想どころかストーリーもうまく説明できないって、どうなんでしょうね。
今までの作品のように「ここが嫌」というポイントでもあればまだ良いのに、普通に良い話?としか思えない。
相性が少なからず悪いことを置いておいても、著者の作品としてはあまり出来は良くない気がしてしまいます。

ドラマ化するならもちろん、主人公は環とコーキが軸ですが、私は狩野が好ましかったです。
秘密の多い語り手は良いですね。
しかし好きな映画が『ミツバチのささやき』という時点で、好青年とは思えないのが何とも。

いつかのドラえもん賛美(参考)よりはマシでしたが、やはりライトノベルや漫画なんかが語られるシーンも多いので、合わない方は合わないのではないかと思っちゃいました。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:た行]辻村深月 | 13:07 | comments(0) | - |
ぼくのメジャースプーン/辻村深月
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。
ある日、学校で起きた陰惨な事件。
ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。
彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。
チャンスは本当に一度だけ。
これはぼくの闘いだ。


小学校のウサギが惨殺され、それを発見したのが誰よりもウサギたちを可愛がっていた大切な幼馴染みだった。
そのショックで心を閉ざした彼女を救うために、ぼくはぼくの『力』で戦うことを決意する……というストーリーです。

著者にとっては4作目にあたる作品です。
2作目の「子どもたちは夜と遊ぶ」(参考)とリンクしているので、是非そちらから読まれることをおすすめいたします。
ひとつ謎が解明いたします。
そして、どうもこの作品を読んでから「名前探しの放課後」(未文庫化なので私は未読です)を読まれた方が良いようです。

ファンタジー小説だと思って読み始めましたが、誰かを理由もなく傷付ける「悪意」について語られる部分が長いです。
きっと著者はここを書きたかったのではないかと思います。
それ自体は悪くはないですし、たった七日間で小学生の男の子が、大切な幼馴染みを傷付けた犯人への「復讐」を考えるというストーリーにはうまく合っていたと思いますが、冗長な印象も拭えず。
その分、わりとあっさりしたラストが綺麗に感じられたかもしれませんが……。
主人公の「復讐」は予想出来たことでしたが、その後のふみちゃんの母親と秋先生のやりとりはなかなかでした。

しかしこの作者さん、まだ4作しか読んでいない状態で何ですが、恩田陸と似ているような……。
世界がリンクしていることや、甘ったるい人間関係、不思議設定を平気で持ってくるあたりに、同じ匂いを感じるのは私が偏っているのでしょうかね。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:た行]辻村深月 | 04:21 | comments(0) | - |
凍りのくじら/辻村深月
評価:
辻村 深月
講談社
¥ 820
(2008-11-14)
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。
高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。
戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。
そして同じ頃に始まった不思議な警告。
皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。


著名なカメラマンでありながら自身の癌を苦にし失踪した父と、癌で闘病中の母を持つ高校生の理帆子は、父親が愛した藤子・F・不二雄の言う「SF=少し・不思議」をもじって、周囲の人物それぞれに似合った「SF=少し・○○」を付けて分析する癖を持つ。
周囲のすべてを見下しつつ、駄目な元カレとの連絡を絶てず、学校では周囲に良い顔をし、他校の友人には両親不在の理由を転勤だと嘘をつく。
そんな彼女に一人の男子生徒が声をかけてくる。
「写真のモデルになって欲しい」という彼の申し出をいったんは断る理帆子だったが、何故か彼には自分のこと、家族のことを本音でついつい話してしまう……というストーリーです。

メフィスト賞でデビューした著者ですが、この作品ではそういう傾向は皆無です。
ミステリなり、アッと驚く展開なりを期待するとちょっと外れた感じを受けるかもしれませんが、私はもともと青春小説だと思って読みはじめたので、違和感はありませんでした。
しかし、オチに不満があります。
甘い。
一気に読ませる筆力はさすがですし、前作(参考)よりは、主人公が高校生ということで、ありえそうな人間観や行動に疑問はなかったのですが、ストーリーのどんでん返し度が甘いというか、ネタが同じというか、満足感が非常に薄かったです。

あと、これは個人的な問題ですが、私はドラえもんが嫌いなので、作中さんざん語られてもあまり感慨が……。
解説の瀬名秀明氏が「ドラえもんのことはみんな好きに決まっている」と書いているのが、何とも不思議。
少なくとも私は苦手です。
このあたりに思い入れが深ければもっと面白く読めるのではないかと想像は出来ますが、私には無理でした。


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| [国内作家:た行]辻村深月 | 15:55 | comments(0) | - |
子どもたちは夜と遊ぶ/辻村深月
大学受験間近の高校三年生が行方不明になった。
家出か事件か。
世間が騒ぐ中、木村浅葱(あさぎ)だけはその真相を知っていた。
「『i』はとてもうまくやった。さあ、次は、俺の番――」。
姿の見えない『i』に会うために、ゲームを始める浅葱。
孤独の闇に支配された子どもたちが招く事件は、さらなる悲劇を呼んでいく。


交換留学生を決定する論文コンクールの最優秀賞に、匿名の『i』とだけ名乗る人物のものが選ばれた。
名乗り出ることが条件のその受賞に応える者はなく、アメリカでの生活を夢見ていた狐塚孝太と木村浅葱は諦めざるを得なくなる。
そしてそのまま3年が経過し、高校三年生の赤川翼という少年が行方不明になったのをきっかけに、次々と殺人事件が起き……というストーリーです。

分厚い上下巻の作品なのですが、序盤のストーリーを詳しく書くだけでもネタバレになりそうな、少なくとも初めて読む人に何らかの印象を与えてしまいそうで怖い作品でした。
展開も、読ませる力も、抜群にうまいです。
ストーリーは長いわりにあっさりしておりますが、二転三転するミステリサスペンスを読ませようというよりは、著者は別のものを書きたいのでしょう。
デビュー作もストレートな青春小説でしたし、その傾向は変わりません。
異なるのははっきりと殺人事件があること。
ただ、そのせいでハードルがあがってしまっていて、ラスト付近の展開にはちょっと納得がいかない部分も……。
登場人物たちがことごとく子供っぽくて、うざい性格をしていて、本当に成人しているのですか?というレベルであるような描写は、タイトルに「子どもたち」とあるせいかなと思ってはおりますが、デビュー作で同じような印象を持ったこともあるので、しっかりしたサスペンスを構成するにはやや甘いかもしれません。
文体が甘ったるいですし。
なんというか、客観性に欠ける雰囲気が散りばめられてしまっているというか……。

全体的には楽しく読みました。
次作の文庫化も楽しみにしております。

上下巻完結
子どもたちは夜と遊ぶ 下 (3) (講談社文庫 つ 28-4) (講談社文庫 つ 28-4)
子どもたちは夜と遊ぶ 下 (3) (講談社文庫 つ 28-4) (講談社文庫 つ 28-4)
辻村 深月


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| [国内作家:た行]辻村深月 | 11:47 | comments(0) | - |
冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
雪降るある日、いつもどおりに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。
開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。
凍りつく校舎の中、2ヶ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。
でもその顔と名前がわからない。
どうして忘れてしまったんだろう――。
第31回メフィスト賞受賞作。


それぞれに悩みを抱える受験を目前に控えた高校三年生の深月、鷹野、菅原、梨香、景子、昭彦、清水、充の8人は、雪の降る朝、いつものように学校へとやってきた。
しかし彼ら以外に人の姿はなく、校舎から出られなくなってしまう。
そして、学園祭の最中に死亡したクラスメイトの名前も顔も思い出せないことに気付く8人。
もしかしてここはその自殺したクラスメイトが作り出した世界なのか?
そして、その「幽霊」は自分達8人の中にいるのではないか?
自分が、友達が死んでいるのかもしれないという恐怖に怯えながらもどうにかして思い出そうとするのだが……というストーリー。

これを受賞作としたメフィスト賞の懐の深さには頭が下がります。
(この分厚さだけでも、小説賞の受賞作として規格外でしょう)
私は半ばミステリとして読みましたが、筋からだとホラーかファンタジーでしょうし、中身に注目すれば青春小説でしょう。
何にせよ、非常に読み応えのある作品でした。
高校3年生の受験生となればある程度大人で自分を押さえ込んで他と付き合う術を心得ているようで、まだ子供でもある。
そんな境界線をうまく描いていると思いました。
わりと皆様ヘビーな過去や現実をお持ちで、長さのせいもあって胃もたれしそうでしたが、あの書き込みがなければもっと軽い、それこそただのホラー作品になってしまっていたでしょう。
まあ、私はこの作品のような設定を非常に嫌うので、点が辛くなっているのでしょうが。
また、私のような観点で読まれると、いわゆる“トリック”にはすぐに気付くかもしれません。
昔好きだった「7人目は笑う」(森生まさみ/白泉社)という漫画を思い出しました。

上下巻完結。
冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)
冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)
辻村 深月
| [国内作家:た行]辻村深月 | 01:08 | comments(0) | - |
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