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Jの神話/乾くるみ
評価:
乾 くるみ
文藝春秋
¥ 720
(2008-11-07)

全寮制の名門女子高を次々と襲う怪事件。
一年生が塔から墜死し、生徒会長は「胎児なき流産」で失血死をとげる。
その正体を追う女探偵「黒猫」と新入生の優子に追る魔手。
背後に暗躍する「ジャック」とは何者なのか?
「イニシエーション・ラブ」の著者が、女性に潜む“闇”を妖しく描く衝撃のデビュー作。


不安の中で名門女子高に入学した坂本優子は、入寮当日から上級生やシスターたちから不躾な視線を浴びる。
それは、彼女が自殺した生徒に似ていたからだという。
何故死んだのか、恐ろしい予感と共に興味を憶えた優子は、美しい生徒会長の不可解な死によって、上級生たち「ジャック」にまつわる不審な会話を聞く。
それは自殺した少女の遺書に書かれていた言葉だった。
一方、全寮制の女子校内で起きた娘の死を調査して欲しいという依頼を、私立探偵の鈴堂美音子は事件に興味を持ち受ける。
死因は流産に伴う子宮からの失血性ショック死なのだが、流れたはずの胎児が発見できなかったという。
しかも、その女子高生の姉も同じ理由で亡くなっていた……というストーリーです。

※少しでもネタバレが嫌な方はご注意下さい。展開に触れています。





メフィスト賞受賞した直後から「酷い」という話を聞いていたので、また犯人が幽霊だったり探偵が妖怪だったりしたらたまらないと思って(他意はありません)手に取りませんでした。
しかし、このデビュー作を読まずに著者の別の作品を読むことが多くなってきたので、文春で再文庫化したことだしと今になって挑戦。
思っていた内容とはやや違いましたが、確かにひえー!な展開でした。
最初は解説にあるように綾辻風というか、おどろおどろしい雰囲気で始まるのですが、やたらと遺伝子がどうこうと説明しておいて突然後半になって菊地秀行まがいのホラー風味になってしまうんですね。
SFだろうがホラーだろうか、ミステリはミステリですが、これは酷い。
動機も犯人の行為も、結末もひえー!です。
とにかく「ジャック」の正体に大笑いですよ。
洋物のB級ホラー映画で出会う衝撃です。
私は覚悟して読み始めたから笑えもしましたが、これを「本格ミステリだ」と思い込んで(メフィスト賞ですからね。今となっては何でもありだと思われているでしょうが、スタートの印象は大きいですし)読んだ方の心中をお察しいたします。

それにしても、ミステリらしくテンポ良く進んでいたお話が、探偵の美音子が怪しさ爆発の産婦人科医に会うあたりから、がらっと適当に。
探偵と産婦人科医の会話も違和感だらけですし、キャラクタは崩壊していくし、何故かエロ満載のしょぼいアクションまで。
途中で真面目に書くのが面倒くさくなったのではないでしょうね?それでホラーにしちゃったのではいでしょうね?と著者に聞きたいぐらいでした。
(そうじゃなければ、男性向けの伝奇小説好きなのか……)(無性に菊地秀行が読みたくなっております。魔界都市シリーズ、どこだろう……)
まあ、このあたりのストーリーとは別の下手さというかグダグダさは、いかにもデビュー作なのでしょう。

ただ、読みやすさとそれなりの完成度はかなりのものだと感じました。
これは受賞させたくなっちゃうだろうなぁと。
「B級ホラー映画」と前述しましたが、世の大監督のデビュー作がそういう作品であることは多々あります。
そこで才能を評価されて出世してくるわけで、この作品の場合も、その後の活躍を知るだけに後付けではありますが、パワーは感じます。
問題は……やっぱり、ミステリとして出版されてしまったことでしょうか。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]乾くるみ | 23:33 | comments(0) | - |
リピート/乾くるみ
もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?
この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。
ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて……。
あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。


ある日突然、約一時間後の地震を正確に予知した電話を受け取った毛利は、風間と名乗る男が時間旅行の結果得た「未来の知識」だと聞かされる。
そのある一定の過去に戻る時間旅行の旅に一緒に行かないかと誘われた毛利は、他のメンバーとの顔合わせの場に半信半疑のまま出かける。
そこで聞かされた内容は風間が10回目の今年9月29日を迎えているというもので……というストーリーです。

時間旅行というと、タイムマシンに乗って時間を設定してさあ出発!とすぐに発想してしまいますが(個人的には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の印象が強いです)この作品では時空の割れ目のようなところに飛び込む方法で、行けるのは過去にのみ。
それも意識のみの話で、肉体の移動は一切ありません。
ここまでだと作中でも登場し、引用した内容紹介にあるように「リプレイ」(参考)と同じ設定になるのですが、あちらが死で強制的に18歳から43歳までという25年もの長さの人生を繰り返さざるを得ないのであれば、こちらは意識的に過去に戻ることを選択できます。
しかも戻れるのは、今年の1月13日で、その割れ目もその年の10月30日にしか出現しません。
つまりその9ヶ月ちょっとの間しか、タイトルのように「リピート」することはできないわけです。
未来の知識を持っているというメリットで、競馬や株で儲けるも良し失敗した試験を受けなおすも良しなわけですが、この短い期間の繰り返しという設定が物語の肝です。
そこからの味付けが良いのですね。
次々と死んでいく「リピーター」たちを前にして、主人公たちは偶然なのか殺人鬼がいるのかそれは風間なのではないか、などと疑心暗鬼に陥ります。
しかも、来るべき10月31日という未来に向けてどうにかしようという気持ちが登場人物に全然ないのが面白い。
終盤の謎解きがやけにあっさりしたもので盛り上がりにかけましたが、設定と展開の上手さ、それにラストが好きでした。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:あ行]乾くるみ | 01:41 | comments(0) | - |
イニシエーション・ラブ/乾くるみ
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。
やがて僕らは恋に落ちて……。
甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説――と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。
「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。


彼女は欲しいが合コンでお付き合いをはじめてしまえるような女には興味がない、だから合コンもちょっと…という鈴木は代打で呼ばれた席で一目惚れ。
運良く彼女も自分に興味を示してくれて、正統派なおつきあいを始めた鈴木と繭子だったが……というストーリー。

すいません、ストーリー解説が説明の体をなしていないのですが、なんかこう捉え所のない話なんですよね。
私は完全にミステリだと思って読んだので、引用した文章にあるような「最後から二行目」の驚愕なんて一切なかったですし、恋愛小説としてもいたって普通の話。
著者はこのネタでやろうと思って、それに向かって書いたのでしょう。
鈴木とマユの間の恋愛話にもっとのめり込めていたら、トリックはヒントはと頭を使うこともなく最後に驚けたのではないかと思ってしまいました。
このネタは本編の出来が良いか、ミステリの謎解きが二段構えじゃないとちょっとキツイのではないかと。
そういう意味では不発でした。
嫌いじゃないのですけどね。
まあ、これは私の予想が完全に当たってしまったがための感想なのでしょうが、一方でお話にのめりこんでしまってしょっちゅうびっくりさせられる私程度の読者に見破られるようでは「傑作ミステリー」とは言い難いですね。
| [国内作家:あ行]乾くるみ | 19:45 | comments(0) | - |
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