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元気でいてよ、R2−D2。/北村薫
気心のしれた女同士で飲むお酒は、自分を少し素直にしてくれる……そんな中、思い出すのは、取り返しのつかない色んなこと(「元気でいてよ、R2−D2。」)。
産休中の女性編集者の下に突然舞い込んだ、ある大物作家の原稿。彼女は育児に追われながらも、自ら本作りに乗り出すが……(「スイッチ」)。
本人ですら気付かない本心がふと顔を出すとき、世界は崩れ出す。
人の本質を巧みに描く、描き下ろしを含む9つの物語。
解説・穂村弘、佐藤夕子。



短編集で
「マスカット・グリーン」「腹中の恐怖」「微塵隠れのあっこちゃん」「三つ、惚れられ」「よいしょ、よいしょ」「元気でいてよ、R2−D2。」「さりさりさり」「ざくろ」「スイッチ」
の計9編を収録。

「まえがき」にあるように、陰のある短編集となっております。
とはいえ、人間の本心や悪意に底冷えするようなもの、とまでは至ってない印象。
特に表題作は、何故これを表題作にしちゃったのかな?と思っちゃいました。
このあたりは私の感受性の低さが問題なのかもしれません。
ただ、一番最初の「マスカット・グリーン」は良かったです。好きです。
あざといかもしれませんが、飛躍ともいえる思考とそのきっかけとなったブドウの触感がぐわっと迫ってきて、これぞ小説!という感じがしました。
これでハードルが上がったのかも……。

JUGEMテーマ:読書

| [国内作家:か行]北村薫 | 23:27 | comments(0) | - |
紙魚家崩壊 九つの謎/北村薫
日常のふとした裂け目に入りこみ心が壊れていく女性、秘められた想いのたどり着く場所、ミステリの中に生きる人間たちの覚悟、生活の中に潜むささやかな謎を解きほぐす軽やかな推理、オトギ国を震撼させた「カチカチ山」の“おばあさん殺害事件”の真相とは?
優美なたくらみに満ちた九つの謎を描く傑作ミステリ短編集。


短編集で
「溶けていく」「紙魚家崩壊」「死と密室」「白い朝」「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」「蝶」「俺の席」「新釈おとぎばなし」
の計9編を収録。

著者には珍しい雰囲気の短編集でした。
安定感というか、底に著者らしい文章の美しさとか巧さが見えはするものの、ひとつひとつの作品は結構バラバラ。
表題作である「紙魚家崩壊」と「死と密室」が、また「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」は登場人物が共通しておりますが、あまりそこには目がいかない感じです。
ミステリというよりホラー寄り、または不条理系?というものもありましたが、こういう作品集なのだと慣れてしまえば、楽に読めます。
ただ、「新釈おとぎばなし」はややくどい印象。
これが一番長いのですから、うんざりしました。

気に入っているのは「俺の席」です。
こういうテイストの作品は大好きです。
また「白い朝」はシリーズ作品の関連作と言えなくもないものとなっているだけでなく、思い出話のどことない物悲しさと美しさが描かれていて良いですね。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:か行]北村薫 | 23:50 | comments(0) | - |
ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件/北村薫
ミステリ作家にして名探偵エラリー・クイーンが出版社の招きで来日、公式日程をこなすかたわら、東京に発生していた幼児連続殺害事件に関心を持つ。
同じ頃アルバイト先の書店で五十円玉二十枚を千円札に両替する男に遭遇していた小町奈々子は、クイーン氏の観光ガイドを務めることに。
出かけた動物園で幼児誘拐の現場に行き合わせるや、名探偵は先の事件との関連を指摘し……。


ミステリ作家であり探偵でもあるエラリー・クイーンは、出版社の招きで来日する。
熱いファンとの語らいや、東洋の神秘触れる日々だったが、彼は連続する幼児誘拐事件に興味をおぼえる。
いくら探偵とはいえ、異国の地で自分には関わってこないと思っていたエラリーだったが……というストーリーです。

この作品はエラリー・クイーンの未発表作が発見され、それを著者が「訳した」という設定で描かれています。
パスティーシュですね。
日本を勘違いしているような描写もその設定のためで、ところどころに著者による「訳者解説」が入るのも楽しいです。
また、作中エラリー・クイーン論も展開され、ミステリファンには嬉しい「五十円玉二十枚の謎」も。
色々心くすぐられる点が多い作品だと思います。

ただ、お恥ずかしい限りですが、私はクイーンの作品を1、2冊読んだ記憶も曖昧なぐらい。
そもそも難しいことを考えてミステリを読む志向もなければ、その知識もない。
ただただ単純に「面白かった!」と思えるかどうかが、評価のかなりを占めるような人間なので、その点からだとこの作品はちょっと物足りなかったです。
謎解きが、作中の言葉を借りれば「飛躍」しているようにしか思えません。
あと、バランスが微妙。
クイーン論と五十円玉二十枚の謎と連続幼児誘拐殺人事件と、そもそものパスティーシュとしての存在と、何とも言えない居心地の悪さと申しましょうか。
すっきりしません。
面白くなかったわけではないのですし、著者の変わらず読みやすい文章には清々しい気持ちにさせられましたが、こればかりは好みの問題かもしれません。


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:か行]北村薫 | 12:39 | comments(2) | - |
語り女たち/北村薫
評価:
北村 薫
新潮社
¥ 540
(2007-03)
海辺の街に小部屋を借りて、潮騒の響く窓辺に寝椅子を引き寄せ横になり、訪れた女の話を聞く――さまざまな女が男に自分の体験を語り始める。
緑の虫を飲み込んだという女、不眠症の画家の展覧会での出来事、詩集で結ばれた熱い恋心、「ラスク様」がいた教室の風景。
水虎の一族との恋愛……微熱をはらんだその声に聴きいるうちに、からだごと異空間に運ばれてしまう、色とりどりの17話。


形式として一番近いのは連作短編集でしょう。
「緑の虫」「文字」「わたしではない」「違う話」「歩く駱駝」「四角い世界」「闇缶詰」「笑顔」「海の上のボサノヴァ」「体」「眠れる森」「夏の日々」「ラスク様」「手品」「Ambarvalia あむばるわりあ」「水虎」「梅の木」
の計17作品を収録。
全体としては、人の不思議な話を「千夜一夜物語」よろしく聞くのが好きな男に、女たちが次々と語って聞かせる、という設定で通っています。

綺麗な物語集でした。
ですが綺麗にまとまりすぎていて、不思議なお話でよく感じる、たとえ筋ではハッピーエンドでもゾッとさせられるような怖さが、全然感じられませんでした。
文章は綺麗で、表現もいかにもで、お話もいい。
それなのに、読んだ先から忘れていくような印象です。
地に足が着いていないのです。
それでは共感して、想像して、怖さや凄みを楽しみには至らないのではないかと。

もちろん、好きな作品もあります。
最後の「梅の木」は、ラストを飾るにふさわしい展開だと思いました。

でもやや残念。
著者の作品では好きなものもありますし、評価が高い作家さんです。
この作品も直木賞候補作になったとか。
そう考えると、確かに一定以上のレベルにはあるのでしょうが、ちょっと期待外れかなと思いました。
| [国内作家:か行]北村薫 | 10:28 | comments(0) | - |
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