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無菌病棟より愛をこめて/加納朋子
愛してくれる人たちがいるから、死なないように頑張ろう。
―急性白血病の告知を受け、仕事の予定も、妻・母としての役割も、すべてを放り出しての突然の入院、抗癌剤治療の開始。
辛い闘病生活の中で家族と友人の絆に支えられ、ユーモアを忘れずに人気ミステリ作家が綴る、たくさんの愛と勇気、温かな涙と笑いに満ちた闘病記。



最初はただの風邪、貧血と診断されて、自覚症状のないまま肺炎になっていて、血液検査の結果がおかしいと言われ、その根本は急性白血病だった、ということころから始まるミステリ作家として知られた加納朋子さんのノンフィクションです。

私は作家さん本人にあまり興味がなくて、むしろ作品も作家まるごと全部読むこともほとんどない適当な読者なのですが、加納さんの作品は出版されれば必ず買っています。
それだけに一報を聞いた際には驚きましたし、ハードカバーで出版された時に珍しく手に取りました。
本屋さんで最初の方を立ち読みして(ごめんなさい)、いつもの柔らかい文章にほっとさせられて、帰宅してしかしじっくり読み進めて胸が苦しくなりました。
つとめて明るく描かれてはいるものの、だからこそきつい治療や当たり前にある今後への不安がストレートに飛び込んできて、途中で休憩を何度入れたことか。
病というのは特に理由もなく、突然に降ってかかるものだと思えば思う程、自分はこんなに「きちんと」過ごせるかなと考えました。
自分のことだけでなく、家族がこうなったら、とか。
テンポ良く読ませてくれる作品なので、身近な方も、そうでない方も機会があれば一読されると良いのではないかと思います。


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| [国内作家:か行]加納朋子 | 23:48 | comments(0) | - |
少年少女飛行倶楽部/加納朋子
中学一年生の海月は幼なじみの樹絵里に誘われて、「飛行クラブ」に入部する。
メンバーは二年生の変人部長・神ことカミサマ、野球部兼部の海星、不登校で高所平気症のるなるな、運動神経はないけど気は優しい球児。
果たして彼らは空に舞い上がれるか!?
友情、家族愛、恋、冒険――全てがつまった傑作青春小説。


迷惑をかけられてばかりの幼なじみの初恋成就に協力するために、海月は「飛行クラブ」に入部することになる。
それは全員入部制をとる中学で、既存の部活には入りたくないと頑なに拒否する変人・斉藤神が作った「空を飛ぶことを目的とする」クラブ。
常識人を自認する海月は、まずクラブを正式なものとするための新部員探し、次は学期末ごとの活動報告書を出すための活動探しと働くが、少人数の部員たちにもそれぞれ事情があり……というストーリーです。

非常に綺麗な物語でした。
起承転結といった構成も内容も、お手本のような少年少女向け小説。
こういう本を「面白かった」「良かった」と思ってくれるようなお子様をお持ちでしたら、きっと世のお母様方も安心!という感じ。
それだけに、私のようなゆがんだ大人からすると、物足りない。
上手いし、読みやすいし、登場人物たちもまっすぐで、その描写も良い、こういうストーリーにケチをつけたくなる私はどれだけ天邪鬼なのかと自問したくなりますが、綺麗事という言葉が頭に浮かんで離れないのです。

作中、ある大人を卑怯だと詰るシーンがありますが、私としてはその大人の意見の方が普通で、当たり前で、当然。
大人の意見と子供の希望をぶつけ合って、結局大人だけが悪者になるような描写が微妙。
ぶつかって跳ね飛ばされて敗者となるのが青春モノの味ではないでしょうか。
敗者となった苦しみの中から子供たちは学ぶのがセオリーだと思うのです。
その点で、この作品が子供に媚びている気がしてならない。
(最後叱られたとありますが、そんなものじゃ済みませんよ普通)
あと、これは個人的な好き嫌いですが、色々ファンタジックというか設定に現実感がないからな…と納得したいところなのに、登場人物の一人が家族から課せられた運命が過酷。
実際こういうことをする親はいると聞きますが、理不尽。
それには表立って反抗しない。
社会的圧力には屈しない、しかし家庭内では従順にって、古い思想のようで気持ちが悪くて仕方がありません。

という感想は、やはり私の性格が悪いせいでしょう。
素直に読めば爽やかな読後感が楽しめると思います。


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| [国内作家:か行]加納朋子 | 16:55 | comments(0) | - |
モノレールねこ/加納朋子
評価:
加納 朋子
文藝春秋
¥ 530
(2009-06-10)

小学生のぼくは、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。
ある日、ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが……。
表題作の「モノレールねこ」ほか、ザリガニの俺が、家族を見守る「バルタン最期の日」など、夫婦、親子、職場の同僚など、日常にさりげなく現われる、大切な人との絆を描いた8編。


短編集で
「モノレールねこ」「パズルの中の犬」「マイ・フーリッシュ・アンクル」「シンデレラのお城」「セイムタイム・ネクストイヤー」「ちょうちょう」「ポトスの樹」「バルタン最期の日」
の計8編を収録。

概ね、少しだけ不思議な話(それが日常の謎だったり、文字通り不可思議な出来事だったり、視点が人外だったり)を扱った作品集という印象です。
著者が好きなように書いた作品がまとめられている気がしました。
どれも綺麗に展開してくれて、読んでいて非常に楽。
読みやすさも相変わらずです。
基本的にどれも良い話過ぎてパンチが足りないかなぁという気もしましたが、著者の作品がお好きな方なら楽しめるのではないかなと思います。

一番好きなのは「シンデレラのお城」です。
ニートな叔父が残された唯一の家族となってしまう「マイ・フーリッシュ・アンクル」も、ひどい親父の話「ポトスの樹」も、ザリガニが語り手という珍しい「バルタン最期の日」も、それぞれしみじみ良いなぁと思ったのですが、「シンデレラのお城」のホラーさには敵いません。
リアルな病名を思い付いてしまえばそれまでですが、何とも怖い。
特にラストに救いがなくて(あれを救いと読む方もいるでしょうが)素敵です。


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| [国内作家:か行]加納朋子 | 10:25 | comments(0) | - |
スペース/加納朋子
評価:
加納 朋子
東京創元社
¥ 672
(2009-05-05)

ご存じだろうか。
<魔が差す>という瞬間は、たぶんどんな人にも一度や二度は訪れるものなのだ。
そう、犯罪行為などとは地球とアンドロメダ星雲くらいにかけ離れている駒子にさえ、その瞬間は突然やってきたのだから。
クリスマスにひいた風邪が軽快し、空はすこんと晴れ上がった大晦日、出かけたデパートであるものに目を奪われたばかりに、息が止まりそうな思いをした駒子は……。


駒子シリーズ第3弾。

大晦日、おせちを作る母に頼まれて買い物に出かけた駒子は、松葉というリクエストに困惑する。
どこかの公園で取ってきて、と能天気に頼んだ母と、売ってはいたものの酷く高いデパートのそれ。
悩んだ末に彼女がとった行動は……。
そしてそこでデパートの警備員のバイトをしている瀬尾と会い、駒子は彼に
「読んでもらいたい手紙がある」
と持ちかける……というストーリーです。

「駒子シリーズ第3弾」と書きましたが、どうも「ななつのこ」も「魔法飛行」も感想を書いてないようですね。
「魔法飛行」の話を一切憶えていなかったので読み直そうと思ったのですが、本棚の二重に並べた奥、しかもその手前にA4サイズの雑誌まできっちり置いてしまっている場所にあると気付きあきらめました。

「スペース」(表題作)と「バック・スペース」の中編が二つ収録されておりますが、表裏一体の物語となっていますので、ひとつの話として捉えても良いかと思います。
どちらも甘ったるい話でした。
正直「スペース」にはあまり納得できるものがなかったのですが、「バック・スペース」で腑に落ちたというか、綺麗にはまっていてホッとしましたね。
ラストの「なるほど」は、かつて別にシリーズでも使われていた(そして驚いた)“トリック”でした。

解説を読む限りだと、このシリーズ、完結編となる続編が書かれるということですから、それを楽しみにしたいと思います。


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| [国内作家:か行]加納朋子 | 08:48 | comments(0) | - |
てるてるあした/加納朋子
親の夜逃げのため、ひとり「佐々良」という町を訪れた中学生の照代。
そこで彼女が一緒に暮らすことになったのは、おせっかいなお婆さん、久代だった。
久代は口うるさく家事や作法を教えるが、わがまま放題の照代は心を開かない。
そんなある日、彼女の元に差出人不明のメールが届き始める。
その謎が解ける時、照るよを包む温かい真実が明らかになる。


連作短編集で
「春の嵐」「壊れた時計」「幽霊とガラスのリンゴ」「ゾンビ自転車に乗って」「ぺったんゴリラ」「花が咲いたら」「実りと終わりの季節」
の計7編を収録。

「ささらさや」の姉妹編です。
同じように連作短編の形式をとっていますが、より大きな流れがある物語になっています。
美しい母と、母を崇拝する父の両親とも浪費家のため受かっていた高校もあきらめ夜逃げして一人で遠い親戚にあたる久代と一緒に暮らすことになった主人公・照代は、不平不満ばかりをうちに溜めていたが、不思議なメールが届くようになり、久代の家で女の子の幽霊を見かけるようになり……というお話です。
典型的なわがままな子供の成長物語に、親子のどうしようもない情と「ささらさや」でも舞台となった「不思議なことが起こる土地」佐々良という設定が組み合わさって、非常に温かい作品です。
「ささらさや」ではかすかに残っていたミステリの要素はほとんどなく、メールの送り主や幽霊の正体も簡単にわかります。
オチさえ想像できるというのに、ここで泣かされました。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、最後、奔放な母に対しての照代の態度がリアルで痛々しくて辛くて、愛おしかったです。
読後感は爽やかでした。


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| [国内作家:か行]加納朋子 | 00:56 | comments(0) | - |
ささらさや/加納朋子
事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。
そこでは不思議な事件が次々に起こる。
けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。
そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。
そしてユウ坊が誘拐された!
ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。
連作ミステリ小説。


連作短編集で
「トランジット・パッセンジャー」「羅針盤のない船」「笹の宿」「空っぽの箱」「ダイヤモンドキッズ」「待っている女」「ささら さや」「トワイライト・メッセンジャー」
の計8話を収録。

再読です。
新婚の妻と生まれたばかりの子供を残して死んでしまった夫が幽霊となって彼女達を見守り、ちょっとした日常の謎を解いていく……という設定の作品です。
実は再読する前は「著者がうまいから読ませてくれるけど、取り立てて珍しい設定ではないしパッとするようなミステリでもなかったしなぁ」と思っておりました。
それが読んでみると、もう駄目です。
夫の無念とか、主人公のさやの幽霊となった夫の前でこぼす震えそうな本音とか、ミステリ以外の部分が良過ぎます。
さすがに涙をこぼしはしなかったですが、最後の「トワイライト・メッセンジャー」ではうるっときました。
感情移入できるかどうかによる部分が大きいので、冷静になれば再読する前の感想に戻るでしょう。
ですが私には何度読んでもこの作品はしみじみ良い話です。
著者お得意の日常の謎ミステリではありますが、どちらかというと物語の本質はそこから離れてお話として読ませるものになっている気がします。


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| [国内作家:か行]加納朋子 | 22:45 | comments(0) | - |
レインレイン・ボウ/加納朋子
評価:
加納 朋子
集英社
¥ 560
(2006-10)
高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した、七人の女性たち。
二十五歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。
過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦…。
彼女たちは、傷つき、迷いながら自分だけの答えを見つけていく――。
ミステリのエッセンスを加えながら、前向きに生きようとする女性の姿を描いた、爽やかな青春群像劇。


連作短編集で
「サマー・オレンジ・ピール」「スカーレット・ルージュ」「ひよこ色の天使」「緑の森の夜鳴き鳥」「紫の雲路」「雨上がりの藍の色」「青い空と小鳥」
の計7編を収録。

それぞれのお話の語り手は異なるのですが、7つの物語を貫くのは“牧知寿子の死”です。
高校時代の弱小ソフトボール部で一際明るく可愛かった知寿子こと“チーズ”がたった25歳で死に、そのことでそれぞれの人生を生きていた7人の女性がふと周囲を振り返る。
それにちょっとした謎と、知寿子の死にまつわる不可解な出来事を絡めた物語です。

非常に安心して読めるレベルにあります。
これといった重みがない短編集とも言えるかもしれませんが、その軽さの背後にある様々な作家としての巧さが見えるかと思います。
それに、主婦やOL、保育士に看護師にフリーター…といった立場にある女性たちの、女ゆえの悩みや不満や、そういったどうしようのないことが丁寧に描かれていて、「女の不満は甘え半分」とフェミニスト団体から苦情が来そうな発言を日頃から繰り返している私でも、共感してしまう部分がありました。
ミステリとしては、ラストの「青い空と小鳥」で明かされる謎は一冊引っ張るには小物かなと思わないではないのですが、それだけにリアルであるとも言えます。
(“彼女”の居場所はちょっとありえないですが)

語り手の一人である片桐陶子は「月曜日の水玉模様」の主役。
このリンクも嬉しいですし、陶子のことを語る昔の友人たちの言葉から彼女の立ち居地が想像できて、それも楽しかったです。
| [国内作家:か行]加納朋子 | 10:44 | comments(2) | - |
月曜日の水玉模様/加納朋子
評価:
加納 朋子
集英社
¥ 520
(2001-10)
いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった――。
丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。
やがて2人は、身近に起こる不思議な事件を解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように…。
謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい「普通」の毎日の輝きを描く連作短篇ミステリー。


連作短編集で
「月曜日の水玉模様」「火曜日の頭痛発熱」「水曜日の探偵志願」「木曜日の迷子案内」「金曜日の目撃証人」「土曜日の嫁菜寿司」「日曜日の雨天決行」
の計7編を収録。

連作短編のお手本のような作品です。
導入部となる表題作「月曜日の水玉模様」の陶子と萩の出会いがまず好きです。
陶子はラッシュ時の満員電車で萩(とは知らないのですが)の前に立っておけば、彼が決まって同じ駅で降りること、その後に座れて最も混雑する区間をやり過ごせることを発見します。
自然毎日萩の前に立つ陶子。
そして彼のネクタイが曜日によってローテーションが決まっていることや、背広との組み合わせがややちぐはぐになることがあることも気付きます。
それが、ある日から彼はいつも降りていた駅で降りなくなり、月曜日用の水玉模様のネクタイを続けてしてくるようになる。
加えて、オフィスビル荒らしが多発していて……というお話なのですが、通勤通学に電車を利用したことがない私にとっては、二人の関係のこのはじまりが、まず憧れ。
それに陶子が注意深い、賢い女性であることをコミカルに描いていて、上手いと思います。

その後は陶子や萩、陶子の同僚たちを中心とした人々の間で起こる、ちょっとした、ですが少し悲しいところもある事件を解決していきます。
加えて、「女」であり「OL」である陶子の少なからずある葛藤も混じり、萩とのさわやかな関係も入り、軽やかな読後感が得られます。


お話には関係のないことなのですが、再読しようと引っ張り出して開いて、驚きました。
字が小さい!隙間がない!
最近の大きな文字に慣れきっていたようです。
そして、やはりこれぐらいの方が良いのに……と最近の傾向が残念でなりません。
| [国内作家:か行]加納朋子 | 09:56 | comments(2) | - |
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