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Op.ローズダスト/福井晴敏
都心でネット財閥「アクトグループ」を標的とした連続爆弾テロ事件が発生した。
公安の並河警部補は、防衛庁から出向した丹原三曹と調査に乗り出すが……。
『亡国のイージス』『終戦のローレライ』など、読者を圧倒し続ける壮大な作品で知られる著者が、現代の東京を舞台に史上最大級のスケールで描く力作長篇。


資料分析を主とする公安四課という公安でも窓際の課で燻る並河は、赤坂にあるビルで起きた爆破テロで、その匂いからセムテックスという特殊な火薬が使われたことを感じ、自分が以前担当した神泉教の地下鉄同時テロを思い出し現場に入り込む。
そこで、人形のような目をした青年を目にする。
不審人物だと思い込んだ並河は追跡するが、彼は自衛官だった。
しかもそれが縁で、その青年――丹原とコンビを組んで事件に当たることになってしまう……というストーリー。

久々に「続きが読みたい!でも結末まで行ってしまうのが惜しい!」という作品を読みました。
やはりこの手の物語が私は好きなようです。
福井作品としては、悪く言えばいつもの展開でしたが、安心感すら漂います。
丹原のキャラクタと因縁のあるテロ集団・ローズダストの造形は微妙でしたが(敵に大物感がないと緊迫感に欠けます)並河はいいオッサンでした。
著者お約束の中年男と脛に傷持ち青年のコンビと言えばそれまでですが、この中年男たちにいつも心惹かれてしまうのですから、仕方がありません。
そして中巻のお台場アクションに、下巻で描かれる臨海副都心での戦闘はかなり面白く読みました。
分厚さの割りにストーリーは単純なので、映画化すると派手で良いかもしれません。
ただ、その単純さでカタルシスにやや欠けたかな?とも思います。


上・中・下巻完結
Op.(オペレーション)ローズダスト〈中〉 (文春文庫)
Op.(オペレーション)ローズダスト〈中〉 (文春文庫)
福井 晴敏
Op.(オペレーション)ローズダスト〈下〉 (文春文庫)
Op.(オペレーション)ローズダスト〈下〉 (文春文庫)
福井 晴敏


JUGEMテーマ:読書
| [国内作家:は行]福井晴敏 | 19:16 | comments(0) | - |
テアトル東向島アカデミー賞/福井晴敏
やっぱりオレは映画が好きなんだーっ!!
選考基準は火薬量とアドレナリン分泌量。
アクションとスペクタクルに偏ったこのラインナップを見よ。
なにげに渾身、ベストセラー作家が綴る怒濤の映画日記。
オリジナル文庫。


決して映画評論家ではない著者の、映画&日記のような形式でした。
特に後半はご自身の作品の映画化や公開時期に合わせて書かれた文章もあって、感想や評論ですらない「不安」が吐露されていて、福井ファンの方は読んでみると面白いかもしれません。
他、通常部分では「選考基準は火薬量とアドレナリン分泌量」と言うだけある作品がずらーっと紹介されています。
知る人ぞ知る、みたいな単館系映画ではなく「ロッキー」だとか「ダイ・ハード」だとか「エイリアン」だとか非常に大衆的。
これが非常に嬉しかったです。
エンタテイメント作品の良さはあまり大っぴらには言えないものなのか、ここまで大衆的なのは珍しいかと思います。
また特撮映画として不当にも別枠に置かれてしまう「平成ガメラシリーズ」やアニメ作品もちらほらあって、気取っていないエッセイでした。

しかしこれ程アクションとスペクタルが好きだと断言する作者の映画化作品が何故あんなことになってしまったのか…原作者っていうのはそれぐらいの扱いなんでしょうね。
| [国内作家:は行]福井晴敏 | 15:03 | comments(0) | - |
6ステイン/福井晴敏
評価:
福井 晴敏
講談社
¥ 820
(2007-04-13)
愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。
心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。
あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な奇跡を刻む。
著者が織り成す切なく熱い人間賛歌、人生を戦うすべての者へ。


短編集で
「いまできる最善のこと」「畳算」「サクラ」「媽媽」「断ち切る」「920を待ちながら」
の全6編。
市ヶ谷、防衛庁情報局―DAISを舞台にした著者初の短編集でした。
文庫化を待ち望んだわりには、この作家さんの醍醐味は長編だろうと思い込んでいてさほど期待もしていませんでした。
それが嬉しい誤算。
短編でも充分に楽しめ、興奮し、切なくなりました。
もちろんこれはダイスの面々や仕事のあれこれをかつての作品で読んでいるという基礎が自分の中にあるがためで、福井作品初読がこれというのはおすすめしません。
唐突にはじまる物語に、情報戦や自衛隊組織に馴染みのない方が戸惑うかもしれないと思うからです。
それでもあんな長編はちょっと…と聞きでもしたら「じゃあコレ読んで!」と手渡してしまいそうな自分が怖いです。

好きなのは「媽媽」「断ち切る」、そしてあの面子に出会える「920を待ちながら」
「920を待ちながら」は漫画化された「C−blossom」の直前の物語になっていますので、片方のみ読んだ方は是非補完を。
ですが、一番好きなのは「断ち切る」でしょうか。
かつて『断ち切りのタメ』と言われたスリの名手であり、最後のヤマでドジを踏んで4年の「別荘暮らし」をしたこともあるすでに年金暮らしの老人が、自分を挙げた元刑事とその連れの不思議な雰囲気を持つ女性に頼まれて、再びスリ行為をしようとする…という内容です。
この主人公のあきらめの悪さと家族とのささやかな軋轢が、今まで青年〜壮年の主人公しか読んだことがなかったこともあって、小気味良かったです。
もちろん物語も最後に、残酷なのかもしれませんが、納得できました。

「ステイン」とは傷や染みのこと。
人生に傷も染みもない人なんていないでしょうが、それを自力で乗り越える者は多いとは言えない。
そんな内容でした。
| [国内作家:は行]福井晴敏 | 10:19 | comments(0) | - |
Twelve Y.O./福井晴敏
評価:
福井 晴敏
講談社
¥ 680
(2001-06)
沖縄から米海兵隊が撤退した。
それは米国防総省が、たった一人のテロリストに屈服した瞬間だった。
テロリストの名は「12」。
最強のコンピュータウィルス「アポトーシス2」と謎の兵器「ウルマ」を使い、米国防総省を脅迫しつづける「12」の正体は?
真の目的は?
圧倒的スケールの江戸川乱歩賞受賞作。


「亡国のイージス」を再読したところ、こちらも気になって再読。

地場回りの広報官である平は、「肩叩き」と呼ばれるいわゆるリクルート活動をして入隊を約束させたはずの少年が現れなかったことで、少年たちの溜まり場に行く。
そこで再会したのが東馬修一とその娘・理沙。
そのために平は「トゥエルブ」と呼ばれるテロリストとその周囲に蠢く情報機関の闘いに巻き込まれていく…というストーリー。
乱歩賞受賞作にしてデビュー作ですが、その前の年に候補作になった「川の深さは」と関係の深い作品であり、各所で大絶賛された「亡国のイージス」の前段階の話となっており、いささか中途半端な位置づけとなっております。
ですが、福井作品でははじめて読んだ作品ということもあって、自衛隊や国防、果ては外交姿勢に関する日本のあり方への強烈な疑問と、一気に引っ張られるストーリーに夢中ぬなったものでした。
(その後、その姿勢は「川の深さは」や「亡国のイージス」に共通し過ぎるものだったと気付くわけですが)
安易な感想ですが、タイトルの意味がわかった時は爽快感がありました。

出来れば「亡国のイージス」の前にこれを読んで、知識を補完し、福井流の文体や展開に慣れて欲しいと思います。
| [国内作家:は行]福井晴敏 | 22:57 | comments(0) | - |
亡国のイージス/福井晴敏
在日米軍基地で発生した未曾有(みぞう)の惨事。
最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。
交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。
日本推理作家協会賞を含む三賞を受賞した長編海洋冒険小説の傑作。


4月に「6ステイン」が文庫化するのに備えて再読。
何度読んでもいいです。
国防に関するジレンマや日本の自衛隊という組織の曖昧さを深く抉るという読み方もあるでしょうが、単なる冒険小説としてまず面白い。
主人公の千石の無骨で甘さがあって、タフなところは、こういう物語で主役を張るのにぴったりです。
感情移入しやすい。
また宮津艦長の「復讐」が最後の最後に行き着く先が、ダイスと呼ばれる秘密組織のエージェントである孤独な男・如月と交差するあたりは、ベタだなぁと思いながらも納得できました。
一方で陸でドタバタする渥美さんもいい味が出ていて好きです。

単体でも面白いですが、やはり「Twelve Y.O.」を読んでからがおすすめ。
ほとんど続いているとも言えます。
辺野古ディストラクションの詳細と、ラストのちょっと嬉しい再登場が楽しめるはずです。


亡国のイージス 下  講談社文庫
亡国のイージス 下 講談社文庫
福井 晴敏
| [国内作家:は行]福井晴敏 | 22:23 | comments(0) | - |
川の深さは/福井晴敏
川の深さは
川の深さは
福井 晴敏

「彼女を守る。それがおれの任務だ」
傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。
彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。
やがて浮かび上がる敵の正体。
風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。
出版界の話題を独占した必涙の処女作。


第43回江戸川乱歩賞の最終候補に残った作品を加筆修正したもの。
デビュー作に原点があるとはよく言われますが、まさしくその通り。
というか、正式なデビュー作である「Twelve Y.O.」や出世作「亡国のイージス」とパターンが同じすぎてます。
簡単にキャラクタだけでも、落ちぶれた中年男性に突っ走る若い男女と、うーんどこかで読んだ?と思わせるものがたくさん。
テーマも相変わらず。
それなのに一気読みさせるパワーはどこから来ているのでしょうか。
完成度はイマイチですが、この作品も例に漏れず読ませてくれます。
周囲では「これが一番」という声さえありました。
個人的には「Twelve Y.O.」から読むのが良いとは思うのですが、ある意味正しい順番となるとこれからでしょう。

タイトルにもなっている「川の深さは」とは心理テスト。
「あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう?
 1.足首まで 2.膝まで 3.腰まで 4.肩まで」
さあ、貴方どれでしたか?
結果は本書でご確認下さい。
| [国内作家:は行]福井晴敏 | 20:35 | comments(0) | - |
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