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マルドゥック・ヴェロシティ/冲方丁
戦地において友軍への誤爆という罪を犯した男――ディムズデイル=ボイルド。
肉体改造のため軍研究所に収容された彼は、約束の地への墜落のビジョンに苛まれていた。
そんなボイルドを救済したのは、知能を持つ万能兵器にして、無垢の良心たるネズミ・ウフコックだった。
だが、やがて戦争は終結、彼らを“廃棄”するための部隊が研究所に迫っていた…『マルドゥック・スクランブル』以前を描く、虚無と良心の訣別の物語。


「マルドゥック・スクランブル」に続き、数字表記で3巻ありますがまとめて感想。

戦地で何らかの障害を負い、また生まれながらに障害を持つが故に軍の研究所で肉体改造をされた戦士たち。
通常の人間を超える特殊能力を得た彼らは、戦争の終結と共に自軍による廃棄処分となる運命にあった。
研究所を運営する三博士は、新たな道を模索するが……という「マルドゥック・スクランブル」の過去を描いたストーリーです。

過去なので、「マルドゥック・スクランブル」を読んでしまっている以上、主役のボイルドとウフコックの行く末はわかっています。
ボイルドがウフコックを濫用し二人が別れてしまうということ、その後敵対してしまうこと、そしてウフコックがバロットという新たなパートナーを得るということ……。
ですから、虚無を見たボイルドがウフコックという存在にどれだけ救われていたかが描かれていくと、本当に切なかったです。
また、ボイルドの仲間たちがそれぞれ魅力的なだけに、かなりお話にのめりこみました。

問題は、/や=といった記号の多用。
もともと「スクランブル」の時も短い文章だったと思うのですが、今回は極端な短縮と形容詞のなさで、ト書きのようでした。
これに戸惑うときついかもしれません。

ただ物語そのものは単純ではありません。
人間関係は一見複雑ですし、残酷で、謎は簡単には解けません。
それだけに「着地点」にはやや拍子抜けしてしまった気もします。
ボイルドとウフコックの別れが、淡々とした流れに飲み込まれてしまっているというか、文体に影響されてか山場がさらっとしているんですね。
それがちょっと残念でした。
でも、全体的には満足できる内容でした。
あの前作があって、その過去を描くという難しい仕事を綺麗にまとめていると思いました。

全3巻完結。
マルドゥック・ヴェロシティ 2
マルドゥック・ヴェロシティ 2
冲方 丁
マルドゥック・ヴェロシティ 3
マルドゥック・ヴェロシティ 3
冲方 丁
| [国内作家:あ行]冲方丁 | 20:36 | comments(0) | - |
マルドゥック・スクランブル/冲方丁
なぜ、私なの?――賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。
瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。
高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。
それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。


基本的に上・下巻表記のものは1冊で、たとえ2巻完結ものであろうと数字表記のものは別々に感想を書くことにしているのですが、この3冊はまとめてしまいます。
2巻から3巻にかけてのカジノシーンが非常にまとまりがあるため、わけて感想を書くのが私には難しいからですし、是非3冊一気に読んで欲しいからでもあります。

少女娼婦として半ば無気力に生きていたバロットは、シェルの専属となり、結果車と共に燃やされる。
皮膚を焼失し瀕死のバロットを救ったのは「マルドゥック・スクランブル09」という緊急法令と、それを運用するイースター博士と知能を持ったネズミであり万能兵器でもあるウフコック。
しかし、その正当性を主張するためにレイプされたことを証明する法廷に彼女は立たなくてはならない。
しかも、かつてウフコックを濫用し、袂を分かったボイルドが敵方として立ちふさがり……というストーリー。

1巻はバロットの裁判風景とボイルドとの最初の対決がメインです。
そして2巻から3巻にかけてはシェルの“記憶”を求めてのカジノシーン。
最初から最後までどきどきさせられました。
どちらかというと人間味のない女の子で、良心のかたまりなのは万能兵器であるネズミ・ウフコックという組合わせは絶妙。
また微妙に退廃し、技術力の増した世界観は魅力的。
こう聞けばおわかりでしょうが、第24回SF大賞を受賞したと聞くとSFアレルギーの方は敬遠してしまいそうですが、ラノベ寄りで読みやすいです。
やや残酷な描写もないではないですが、途切れ途切れのような文体が、その毒を打ち消しているような気がします。

全3巻完結。
マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼
マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼
冲方 丁
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気
マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気
冲方 丁
| [国内作家:あ行]冲方丁 | 18:59 | comments(0) | - |
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